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アポリネール 「マリー(Marie)」

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マリー(Marie)
                   アポリネール/大島博光訳

古い書物を脇にはさんで
セーヌの岸を わたしは歩いた
流れは わが苦しみにも似て
流れ流れて 涸れはしない
いつ 苦しみの日は終わるのやら

きみはそこで踊っていた 小さな娘よ
きみはそこでこれからも踊るだろうか 母親となって
跳びはねているのは 鯖だ
すべての鐘が鳴り出すだろう
いつ マリーよ きみはいつもどるのか

仮面は 声もなく
音楽は とても遠い
そうだ わたしはきみを愛したいのに
きみをほとんど愛せられぬ
わたしの不幸は こころよい

牝羊たちは 雪のなかへ出て行く
羊毛のちぢれ毛よ 銀色のちぢれ毛よ
兵隊たちが通り わたしにはもう
あの変わりやすい心は わたしのものではない
変わりやすい それからまた わたしが何を知ろうか

泡立つ海のように 波うつ
きみの髪は これからどこへ行くのやら
きみの髪ときみの手は どこへ行くのやら
われらの告白が またまき散らす
秋の木の葉よ

(草稿)
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