おのれの死をもたなかった詩人への悲歌
──フェデリコ・ガルシア・ロルカ
ラファエル・アルベルティ
きみはきみの死をもたなかった あったはずの
きみの死を 道は意地わるく わざと逸(そ)れて曲った
きみはどこへ行くのか わたしは叫びながら
足を速めたが きみの運命を止められなかった
いまやわたしの死が現われ始める! 立って来い!
石灰工場やテラスに塔に 予感が顫えている
川が大急ぎで大声で 場末を呼んでいる
暗やみが 大急ぎに前もって風に知らせる
わたしは島に囚われて きみの死がきみを
見捨てたのも知らず わたしの死を自由にしていた
おお わたしがそうなっていたかも知れない
あの有様のなかのきみを見るつらさ 悲しさ
きみはきみの栄光に あの止めの一撃の恐怖を
眼のなかの恐怖を与えずに 死なねばならなかったろう
きみの記憶を狂わせる きみ自身の血を前にして
銃弾に見舞われなかったら 花であり明るい心であったものを
たとえわたしの死がきみの死を引きうけて死んだとしても
もっと長い美しい生涯がきみの死を待っていたとしても
わたしはきみの死を恥かしめぬように努めただろう
きみの死があの輝かしい収穫(とりいれ)を大地に還すまで
<「マチャード/アルベルティ詩集」土曜美術社出版販売>
──フェデリコ・ガルシア・ロルカ
ラファエル・アルベルティ
きみはきみの死をもたなかった あったはずの
きみの死を 道は意地わるく わざと逸(そ)れて曲った
きみはどこへ行くのか わたしは叫びながら
足を速めたが きみの運命を止められなかった
いまやわたしの死が現われ始める! 立って来い!
石灰工場やテラスに塔に 予感が顫えている
川が大急ぎで大声で 場末を呼んでいる
暗やみが 大急ぎに前もって風に知らせる
わたしは島に囚われて きみの死がきみを
見捨てたのも知らず わたしの死を自由にしていた
おお わたしがそうなっていたかも知れない
あの有様のなかのきみを見るつらさ 悲しさ
きみはきみの栄光に あの止めの一撃の恐怖を
眼のなかの恐怖を与えずに 死なねばならなかったろう
きみの記憶を狂わせる きみ自身の血を前にして
銃弾に見舞われなかったら 花であり明るい心であったものを
たとえわたしの死がきみの死を引きうけて死んだとしても
もっと長い美しい生涯がきみの死を待っていたとしても
わたしはきみの死を恥かしめぬように努めただろう
きみの死があの輝かしい収穫(とりいれ)を大地に還すまで
<「マチャード/アルベルティ詩集」土曜美術社出版販売>
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