バーバラ・ベードラーヘの返事
──わが十二才の小さな妹に
フイ・カーン
大島博光訳
小さなバーバラよ
大きな 海がわたしたちを引き離していても
きみの皮膚の色は ちがっていても
きみには わたしたちの叫びが聞こえ
わたしたちのことが よくわかるのだ
アメリカのナパーム弾で
着ものに 火のついた
ハイフォンの子どもたちの
その泣きわめく声が
きみには 聞こえる
きみは やっと十二才なのに
爆弾の雨や ナパーム弾の金色の焔に
心痛めている ひとびとの良心に
きみの心は 語りかける
アメリカよ アメリカよ
金色の焔に 焼かれる
ベトナムの 幾千もの子どもたちの
この泣き叫ぶ声が
おまえには 聞こえぬのか
ドルの金色の焔が
癌のように 肉をむしばむ
恐ろしい癌が
U・S・Aの
血を腐らせ 魂を蝕(むしば)んでいる
アメリカよ
おまえは 気がつかないのか
おまえの肉が このドルの火に焼かれ
おまえ自身の爆弾で
おまえの良心が 吹きとばされているのを
バーバラよ 小さな妹よ
きみの詩の中の 別の火は
悪魔どもを焼き 悪魔どもをとり巻き
悪魔どもを 気ちがいのようにするのだ
彼らは 真実に猿ぐつわをはめようとしたが
どうしてはめられよう
真実はこうこうと光を放っているのだ
小さな子どもたちの 心の中にさえ
これは、アメリカの十二才の少女バーバラ・ベードラーが書いた『ナバーム弾がハイフォン近郊の村々にばらまかれたことについての反省』という詩にたいする、フイ・カンの返事の詩である。少女バーバラは、すでにアメリカの名によって行われている戦争犯罪を、彼女の詩のなかで意識しているのである。彼女はこう書いている。「アメリカの人たちよ/耳をすまして 聞いてください/ハイフォン郊外の森の中で/子どもたちが焼かれているのです」
<掲載誌不詳>
──わが十二才の小さな妹に
フイ・カーン
大島博光訳
小さなバーバラよ
大きな 海がわたしたちを引き離していても
きみの皮膚の色は ちがっていても
きみには わたしたちの叫びが聞こえ
わたしたちのことが よくわかるのだ
アメリカのナパーム弾で
着ものに 火のついた
ハイフォンの子どもたちの
その泣きわめく声が
きみには 聞こえる
きみは やっと十二才なのに
爆弾の雨や ナパーム弾の金色の焔に
心痛めている ひとびとの良心に
きみの心は 語りかける
アメリカよ アメリカよ
金色の焔に 焼かれる
ベトナムの 幾千もの子どもたちの
この泣き叫ぶ声が
おまえには 聞こえぬのか
ドルの金色の焔が
癌のように 肉をむしばむ
恐ろしい癌が
U・S・Aの
血を腐らせ 魂を蝕(むしば)んでいる
アメリカよ
おまえは 気がつかないのか
おまえの肉が このドルの火に焼かれ
おまえ自身の爆弾で
おまえの良心が 吹きとばされているのを
バーバラよ 小さな妹よ
きみの詩の中の 別の火は
悪魔どもを焼き 悪魔どもをとり巻き
悪魔どもを 気ちがいのようにするのだ
彼らは 真実に猿ぐつわをはめようとしたが
どうしてはめられよう
真実はこうこうと光を放っているのだ
小さな子どもたちの 心の中にさえ
これは、アメリカの十二才の少女バーバラ・ベードラーが書いた『ナバーム弾がハイフォン近郊の村々にばらまかれたことについての反省』という詩にたいする、フイ・カンの返事の詩である。少女バーバラは、すでにアメリカの名によって行われている戦争犯罪を、彼女の詩のなかで意識しているのである。彼女はこう書いている。「アメリカの人たちよ/耳をすまして 聞いてください/ハイフォン郊外の森の中で/子どもたちが焼かれているのです」
<掲載誌不詳>
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