パリの乞食
ヴィレット大通り五三番地
わたしの宿のすぐ近くの道ばたに
年とったフランス女の乞食が坐っていた
大柄で 眼がくばみ落ち
尖った鼻の高い 哀れな老婆
わたしが通るたびに
長い腕をさしのばす
わたしは何サンチームかを
その手のひらに置く
幾日かたつと
だんだんその乞食の老婆が
怖ろしくなってきた
まるでいまにもほうきに乗って
空へと飛んでゆく
魔女のように見えてくる
ある日
背の高い黒人の若い男が
この年とった白人の乞食女の手に
かねをのせ
やさしく言葉をかけて いたわっていた
ずっと離れたところで
わたしはそれをじっと眺めていた
ふしぎな情景を見たように
(1974.8)
<「大島博光全詩集」>
ヴィレット大通り五三番地
わたしの宿のすぐ近くの道ばたに
年とったフランス女の乞食が坐っていた
大柄で 眼がくばみ落ち
尖った鼻の高い 哀れな老婆
わたしが通るたびに
長い腕をさしのばす
わたしは何サンチームかを
その手のひらに置く
幾日かたつと
だんだんその乞食の老婆が
怖ろしくなってきた
まるでいまにもほうきに乗って
空へと飛んでゆく
魔女のように見えてくる
ある日
背の高い黒人の若い男が
この年とった白人の乞食女の手に
かねをのせ
やさしく言葉をかけて いたわっていた
ずっと離れたところで
わたしはそれをじっと眺めていた
ふしぎな情景を見たように
(1974.8)
<「大島博光全詩集」>
- 関連記事
-
-
ブランシュ広場 2010/09/27
-
ランスの微笑み 2010/07/16
-
パリの乞食 2010/07/14
-
パリの王様 2009/09/09
-
ビュット・ショーモンの公園 2009/09/04
-
この記事のトラックバックURL
http://oshimahakkou.blog44.fc2.com/tb.php/656-63647205
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
この記事へのトラックバック