詩はじっさいの真理を目的としなければならない
<わたしの気むつかしい友人たちに>
ポール・エリュアール
もしもわたしが君たちに 森のなかの太陽は
寝床(ベッド)のなかの 身をまかせる腹のようだ と言えば
君たちはわたしを信じ わたしの欲望にうなずいてくれる
もしもわたしが君たちに 雨の日の水晶は
もの憂い愛のなかにも鳴りつづける と言えば
君たちはわたしを信じ 愛する時間を永びかせる
もしもわたしが君たちに 決して「はい」と言わない鳥が
わたしの寝床の枝に巣をつくった と言えば
君たちはわたしを信じ わたしの不安をわけあってくれる
もしもわたしが君たちに 泉の入江は
流れの鍵をまわして青草をおしひらく と言えば
君たちはわたしを信じ もっとよくわかってくれる
しかし わたしが率直に わたしの街を
わたしの祖国を はてしない街道のように歌いだすと
もう君たちはわたしを信じないで 砂漠へ出てゆく
なぜなら 世界の謎をとき世界を変えるために
人間は団結し 希望を抱き 闘わねばならぬということを
君たちは知らずに あてもなく歩いてゆくのだから
わたしの心臓のたったひとうちで わたしは君たちを引きもどそう
わたしは無力だが わたしは生きてきたし まだ生きている
しかもわたしは 君たちをよろこばせようと語りかける自分に驚くのだ
今も わたしは君たちを解き放ちたい
君たちを 夜明けの藻と燈心草に結びつけるように
光りをつくり出すわれらの兄弟に結びつけたいのだ
(「エリュアール詩選」昭和31年9月)
<わたしの気むつかしい友人たちに>
ポール・エリュアール
もしもわたしが君たちに 森のなかの太陽は
寝床(ベッド)のなかの 身をまかせる腹のようだ と言えば
君たちはわたしを信じ わたしの欲望にうなずいてくれる
もしもわたしが君たちに 雨の日の水晶は
もの憂い愛のなかにも鳴りつづける と言えば
君たちはわたしを信じ 愛する時間を永びかせる
もしもわたしが君たちに 決して「はい」と言わない鳥が
わたしの寝床の枝に巣をつくった と言えば
君たちはわたしを信じ わたしの不安をわけあってくれる
もしもわたしが君たちに 泉の入江は
流れの鍵をまわして青草をおしひらく と言えば
君たちはわたしを信じ もっとよくわかってくれる
しかし わたしが率直に わたしの街を
わたしの祖国を はてしない街道のように歌いだすと
もう君たちはわたしを信じないで 砂漠へ出てゆく
なぜなら 世界の謎をとき世界を変えるために
人間は団結し 希望を抱き 闘わねばならぬということを
君たちは知らずに あてもなく歩いてゆくのだから
わたしの心臓のたったひとうちで わたしは君たちを引きもどそう
わたしは無力だが わたしは生きてきたし まだ生きている
しかもわたしは 君たちをよろこばせようと語りかける自分に驚くのだ
今も わたしは君たちを解き放ちたい
君たちを 夜明けの藻と燈心草に結びつけるように
光りをつくり出すわれらの兄弟に結びつけたいのだ
(「エリュアール詩選」昭和31年9月)
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