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詩人の恋文──嘆かひのアルカイオスの歌える

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嘆かひのアルカイオスの歌える
 ──風よ、葦よ、希はくばわが嘆かひをエコオに伝へ、エコオが耳を灼きつくしてよ!

ああ、シレェネェにもまさるうるはしの声(ポーネー)もて、
嘆かひを軽やかに送り返へすわがエコオ!
汝が歌に耳傾けしより、わが竪琴は破(や)れはてぬ!
ああ、 昨日、 アポルロオンをば讃え、
ナルキサスをばいつくしみしわが竪琴も!
汝が身を秘めし(林檎)μηλον(メロオン)の枝に懸けしより、
わが誇りゐしハルモニアの澄みし音(ね)も曇りはてぬ、
おお、汝がやはき絹の梢に囚はれて・・・

破(や)れはてし竪琴(こと)抱き、ボレアス荒ぶ野をゆけば、
いづこともなく、汝が木魂(こだま)、    吹く
風の運びきて、わが盲(めし)ひし耳をひたうちぬ!
ああ、その昔、タンタロスをば撃(う)ちしゼェウスが稲妻も、
汝がポーネーのこだまほどには撃(う)たざりき!
この幻の音(ね)に、われはまた聴く、
緑なす葉蔭より、汝が微笑みの木洩れ陽の、
聾(ろう)せしわれが眼(まみ)をうつをば!
ああ、ヘルペラスしろしめすかのエトナなる
その赤き焔さへ、汝が木洩れ陽に如かざりき!
幻追へばいつしかに、東の空にスコルピオンぞ
昇りきて、はやオオロラの紅に囁く、
  ψυχη(プシウケー) αρχη(アルケー), τινοs(チノス); ζωηs(ゾーエース)
  プシウケーはアルケー(根源)ぞ。何ものの? 生の!

ほどなくヒュペリオーンがうからの
ヘリオス来れど、われははや疲れはて
岩穴にそを避けてまどろむに、
今はまた岩屋の壁に、プラトオンがイデエにも似て、
汝が影ぞ揺れてはよぎる・・・
おお、イオニアのをとめの姿に・・・

ああ、いつの日ぞ、われのエコオを捉ふるは?
おお、Echo Echo Echo! 遠きEcho!
ただ声のみ、捉へがたきわがEcho!
                一・一六 スコルピオンの下にて


前橋市曲輪町九四
群馬県農業会総務課 
鈴木静江様

一月十六日
長野県更級郡西寺尾村 大島博光

静江の本棚に文箱があり、二人の手紙(ラブレター)がぎっしり入っていました。博光のは詩の恋文もありました。これはギリシャ神話の素養がなければよく理解できないもの。静江のことをプシウケーと呼び、静江もこたえて「プシは、プシは」と書いています。

文箱
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