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詩法    ギュビック

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詩法


(『ギュビィック詩集』  1970年11月)

31




 詩 法
           ギュビック

   Ⅰ
言葉は 言葉は
霊柩台のように
ひとのするままにはならない

そうしてすべての語は
たがいに異邦人なのだ
   Ⅱ
たしかに 声が とつとつと
恥かしい秘密をのべるのは
許しなどを乞うためではなかった

声は 言葉のうえを
手探りしながら

自分をとらえた調子に
喜んで なじまねばならなかったのだ


   Ⅲ
恐怖から発する
ふくろうの叫びは

咽喉《のど》だけでは
出しにくい叫びだ

しかも この叫びは落ちてくるのだ
流れる血の色をして

そうして森じゅうに思いのまま ひびき渡って
森じゅうを不安におののかせるのだ
   Ⅳ
ひとがもぎりとった言葉
どうしても言わねばならなかった言葉は

陽ざしのように地に 落ちた



   Ⅴ
たとえ 嵐が口を開けようと
たとえ 夜が ま昼のなかに出現しようと

たとえ 川が つけほくろに魅せられて
悩殺された ネグロの王さまであろうと

たとえ 葡萄畑が すでに死んだ人たちに
優しさと愛撫をいだこうと

──いつでも 大地にしっかりと
根を下ろしていなければならなかった

木をこなす
指物師の手よりも あざやかに
困難をきり抜けなければならなかった

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