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IN MEMORIAM (死者たちの思い出に)   ギュビック

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イン・メモリアム


(『ギュビィック詩集』  1970年11月)

ススキ






 IN MEMORIAM
     (死者たちの思い出に)
                          ギュビック

   (対話)

──風が吹いて 寒いぜ 旗がはためく 夜だ
寒い 弾丸《たま》が飛ぶぞ 旗が鳴り 顔はまっ黒
叫び声にまじって 急《せ》きこむ咳《せき》だ

──今夜《こんや》 中庭や麦打ち場でみんなが待っているのさ
陣痛の苦しみが消えて 子供の生れるのを

──おまえにもわかるだろう──この連中は町が燃えていた時に 歌っていたのだ
この連中は 塹壕のへりの草を食べたのだ
この連中は 弾丸に向って進撃し 折り重って倒れたのだ

──女どものまぶたに疲れの色が現われたのさ
女どもは夜明け前には 赤ん坊を産むだろうよ
家畜小屋の汚水が井戸に溢れればさ
おまえさんの手がわたしの腰を圧《お》してくれればさ

──だが 夜のなかを
火刑場にむかって 果てしのない行進がつづくんだ

おまえさんの血は流れ出たがっているんだよ
思い出すよ──おまえさんの歩いていった緑の牧場で
かっこう鳥の無情な啼き声をきいて
わたしは おまえさんの温《ぬく》い頸を思い出したんだよ
その頸にはもう血も通わなくなったんだよ

──肉を喰《くら》う太陽
飢えの叫びをあげる岸べ
喉《のど》を切られた鶏の叫び
沼地の木木がのび上ってその叫びをきくんだ
沼地の渇いた泥の上には鱗《うろこ》の落ちた魚たちが腹を見せているんだ

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