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わんぱく小僧   ギュビック

ここでは、「わんぱく小僧   ギュビック」 に関する記事を紹介しています。



わんぱく小僧1

わんぱく小僧2



(『ギュビィック詩集』  1970年11月)

こども





わんぱく小僧
     マルセル・アルランへ
                          ギュビック

その頃 新聞とは
子供が遊んでいる戸口で
いつも母親が受け取る
一枚の四角い白い紙に過ぎなかった

外には
いろんな巣や 畑や
風に吹かれた 窪んだ道や
蛇の穴や
畑の木苺《きいちご》があった

そうして自分の中には
風よりも強い力があった
ずっと後のために 今のために
きっと ぶつからねばならぬ
どんなことにも立ち向うだけの
   *
彼がパンにありつけたのは
まさに身代金のおかげだった
牛乳を飲み過ぎなかったのは
眼の輝きが曇るからだった

──食べ切れないほど
パンの残り屑があったよ──
そうみんなに話して聞かせたほどだ
   *
食卓に坐って
聞いているような振りをしている

しかし こころは
落葉の中にもぐり込んで
大地を抱いているのだ

落葉の中でくすくす笑い合ったり
突っつき合ったり
木の葉を撫でたり
引きちぎったり

怒鳴り声に はっとして
湿った落葉の中から這い出るのだ
おとなしく言うことをきくために
   *
夕焼けに見とれて 怖《こわ》い思いをするよりは
畑の中で 戦争ごっこをする方が楽しかった
たぶん夕焼けも微笑みながら 見守ってくれるので
それにまた すべての点で
 
犬を殴りつける棍棒を
柊《ひいらぎ》の枝でつくる方が たのしかった
えにしだの茂みの中で 殴り合い
一つ打たれたら 二つ打ち返えす方が たのしかった

とかげや 泥や 草の根だらけの
変てこな水溜りに やって行って
血を流したように映る夕焼けを
じっと 待っているよりは
  *
それに加えて 妖精たちの足跡をつけて
鶯のいる森の中の 眠り女を探すこともできる
夜になると畑の土の中から出てくる
可愛らしいものを おずおずと撫でたり
冬の狼には 蝮の卵や 雀蜂の宮殿のことなどを
みんな話させることもできる
  *
狼といえば やはり闘わねばならない
狼の口の奥ふかく 拳をくらわしてやり
狼が眼を廻わすのを見てやらねばならない
強いということは いいことだから
  *
戦争が遠い東の戦場で行われている頃
村のわんぱくたちは
畑で一生懸命に働いた

夜露が降りる前に
葉の茂った生垣のそばの水場に飛び込んで
水をはね飛ばして からだを洗わねばならない

そうして いつも
生垣の門をめった打ちにするのだ

だが そのやけっぱちな怒りを
自分から根こそぎにする法は知らないのだ

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