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物語   ギュビック

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物語



(『ギュビィック詩集』  1970年11月)
 
馬





物 語
     何よりも雷を怖がっていた女が
                         ギュビック

何よりも雷を怖《こわ》がっていた女が
黒黄まだらの 腰掛付きの車に乗って
市《いち》から帰えってきた時
ごっつい黒い服に身を包んで
堂堂と 市から帰ってきた時

突然 空を二つに引き裂く稲妻を見た
つづいて 馬が一匹 あたりの火を蹴散らしながら
空から地上へ 静かにすべり落ちてくるのを見た
気品にみちた頸を彼女の方に向けて

彼女は震えながら 待っていた
雷が 情《なさけ》容赦もなくとどろき渡って
いまにも彼女の上に落っこちてくるのを
馬は あたりの火を蹴散らしながら
相変らず 静寂の中を降りてきた

彼女は死ぬような思いに堪《こら》え切れず どっと倒れ込んだ
積み込んだ卵や鶏の上に

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