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マチャード 「アルヴァルゴンサレスの土地」 (1)

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 アルヴァルゴンサレスの土地
                  アントニオ・マチャード 大島博光訳

   Ⅰ

若い頃 アルヴァルゴンサレスは
中くらいの財産の持ち主で
それは ほかの土地では安楽な身分と
呼ばれ ここでは金持と呼ばれた
ベルランガの縁日で
ひとりの娘に惚れて
一年後に 結婚した
結婚式は 豪華だった
見た者は 忘れないだろう
結婚祝いは ずばぬけていた
アルヴァルは 村じゅうに はずんだ
風笛や長太鼓を
フリュート ギター マンドリンを
ヴァレンシア風の花火を
アラゴン風の踊りを

   Ⅱ

アルヴァルゴンサレスは 自分の
土地を愛して 幸せに暮らした
結婚から 三人の息子が生まれた
│ほんとうの田舎の金持だった
息子たちが大きくなると 彼は
そのひとりを 果樹園の仕事に
もうひとりを 羊飼いにした
末っ子の行き先は 教会だった

   Ⅲ

農民たちの家には
カインの血が多く流れている
そしてこの田舎の家でも
ねたみが不和を生んだ

二人の兄は 結婚した
アルヴァルゴンサレス家に来た
嫁は 子供たちを生む前に
不和の種を生んだ

田舎の強欲さは
死後の遺産相続から
その分け前では満足せずに
ほしいものを手に入れようとする

末っ子は ラテン語の勉強より
美しい娘たちの方が好きで
女のような長い僧服(ドレス)を
着るのは嫌いだった
ある日 僧服を脱ぎ棄てて
かれは遠い国へ行ってしまった
母親は泣いた 父親は
かれの幸せを祈りながら
遺産の分け前を彼に与えた

   Ⅳ

アルヴァルゴンサレスのいかめしい
額には いまや皺が刻みつけられた
その顔の 顎の上にあった
青い影は銀色になった
ある秋の日の朝
彼はひとりで家を出た
彼は猟犬を持ったことはなかった
すらりとしたグレハウンド犬を

彼は悲しげに もの思わしげに
黄金色のポプラの並木に沿って
長い道を歩きまわって
済んだ泉へ辿り着いた

彼は石の上に毛布を敷いて
地べたに横たわった
泉のかたわらで 彼は眠り込んだ
水の音をききながら
(つづく)

(現代詩文庫「マチャード/アルベルティ詩集」土曜美術社出版販売)
 
青葉の森




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