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紙芝居 おじょっさまが行く(上)   作·画 赤澤節子

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1
あじょっさまが行く
作·画 赤澤節子 
2
のどかな村の1本道をよたよたと、それでも土ぼこりをあげて走ってくる車。 
桐生から足利に向う国鉄の中間にある小さな駅に昔から置いてあるハイヤーです。 
「あ!黒く光ってるからハイヤーだ!」 
バスも通らない村の子ども達は大喜び。 ハイヤーと一緒に土ぼこりをあびながら走ります。

3
やがてハイヤーは村の出世頭で大学病院の名誉博士の家の前でとまりました。
「大先生(おおせんせい)がけってきなさったどう」
でも、おりてきたのは、だいている西洋人形よりもかわいい女の子がひとり。 
「ありゃ大先生の孫でねえけ」
「そうだな、見てみろ、小さいけど高い椿油つけるから頭の毛がピッカピカだ! 
大奥様のおそよ様が自慢のお孫さんなのです。

4
その日から村の人達は畑に行く時も、わざわざ遠まわりして中の様子を屏の窓から のぞいて行きました。
その日はとてもラッキーで した。おじょっさまがお手伝いのけさのさんとおままごとをしていました。
けさのさんが「メリーさん、大きなおくちでアーンして」と言いながら 自分も大きな口をあけていたのです。

5
ままごと遊びは外をとびまわることしか知らなかった村の子ども達にとって衝撃的なものでした。
翌日にはもう村の女の子達の間で広まったのです。人形はないので座ぶとんを二ッ折にして
胴をヒモで結びました。 名前はみんなメリーさんです。

6
ある日、門の外までひびいてくる蓄音器の歌につられて庭まで入りこんで来た子供達は目を見はりました。
見たこともないきれいな振り袖を着たおじょっさまがかわいい日がさを持って踊りの練習をしていたのです。 

7
次の日、村は朝から大さわぎです。 「どろぼうがおうちへへっただよ」 
「嫁に来る時、持ってきた着物がねえだよ」 「干しといた腰巻がめっからねえ」 
「皆で駐在さんへ行くべえよ」 
駐在所へ行こうと神社に集まった皆はびっくり。 なんと持ち出したのは子供だったのです。 
腰巻や着物を体にまきつけ、やぶれた番がさを持ち、下駄にはありったけの鈴をつけ、踊っていたのです。

8
マリつきをしている子供達をぼんやりと見ていると 「マリをかしてやるからやってみな」
と声がかかりました。さっそくおじょっさまはマリをつきはじめました。
「あんたがたどこさ、肥後さ、ヒゴどこさ、熊本さ、熊本どこさ、せんばさ、せんば山には
狸がおってさ、それを猟師が鉄っぽうでうってさ、煮てサ、焼いてサ、それを木の葉で
ちょっとかぶせ” ここでおじょっさまはパッと赤いスカートを、おもいっきり まくりました。
「あー!! 」みんなびっくり。おじょっさまは木綿のレースがついたシミーズをはいていたのです。 

9
その頃からおじょっさまがひとりで遠くまで歩く姿が見られるようになりました。 
「あっ、あいつ東京もんだ」 「なまいきだって、みんな言ってるよ」 
田んぼの水たまりで遊んでいた子供達がさわぎはじめました。 
「おーい、おめえ東京から来たんだろ、田舎のトコロテンくってみな、うめえぞ」
おじょっさまは立ちどまると空カンに入ったお玉じゃくしのタマゴを
いっきに飲んでしまいました。 
(つづく)


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