三年間の偉大な業績
人民連合政府の課題
人民連合政府の課題は、アメリカ帝国主義にたいする従属からぬけ出し、ひとにぎりの独占資本による経済支配をうちやぶり、大土地所有制を廃止することによって、チリ国民の「九〇パーセント以上」の利益を守り、真の独立を達成することでした。
大企業、大銀行、大土地の国有化
「チリのサラリー」といわれた銅鉱山をはじめ、硝石鉱山、鉄鉱山などはアメリカの独占資本であるアナコンダ社やケネコット社などに握られていました。これらを国有化することは、人民連合政府成立以前から、すでにチリ国民の圧倒的多数が合意するところでした。そこで人民連合政府は成立後ただちにこれらの鉱山を国有化し、チリ人民の手にとりもどしたのです。
人民連合政府は石炭、繊維、セメント、ガスなどの大会社及び少数の財閥と外国資本の手中にあった銀行業を国有化しました。
また、人民の抑圧と貧困の大もとの一つであり、チリ経済の正常な発展をさまたげていた大土地所有制の打破のための土地改革も急速にすすめられました。
そして、一九七二年八月頃までに、八〇ヘクタール以上の土地が接収され、約四万の土地を持たない農民や小作人の家族に分配されました。
国民生活の改善
人民連合政府は成立後すぐに国民の生活条件の改善に着手しました。まず、物価上昇をおさえながら最低賃金を大幅に引き上げるなどの措置をとり、かたよった所得分配を改めました。
幼児にたいしては一日半リットルのミルクを無料で配給し、労働者や失業者の医療費を免除するなどの社会福祉を拡充して、国民の健康管理の面に力を入れました。
さらに、教育条件の改善においては、学校建設のほか青年たちが文盲一掃運動を展開するなどして大きな成果をおさめました。
住宅の建設によって、多くの農民や都市貧困者が電気や水道はもちろん、床さえない〝小屋〟から施設の整った住宅に移ることができました。
失業対策にも大きな努力がはらわれ、人民連合政府のもとで失業率は急速に減少しました。
このように、人民連合政府は、労働者をはじめ青年、婦人などの人民の自主的、積極的な参加のもとに国民の生活条件を急速に改善したのです。
外交政策
外交面では、人民連合政府は自主的、平和的な外交政策を展開し、非同盟中立の立場での外交を積極的に発展させました。同時に、アメリカ帝国主義との間に結んでいた軍事同盟条約を改めて、アメリカ帝国主義の軍事支配をとり除く努力をつづけました。
以上のようにして、チリ人民連合政府は、チリの経済、政治、文化をアメリカ帝国主義、大資本家、大地主の手からチリ人民の手にとりもどしました。そして、国の発展の土台である経済改革を成功させるために、社会的所有部門を中心にして生産を発展させることによって、アメリカ帝国主義、大資本家、大地主の経済支配を完全にうちやぶることが人民の重要な課題となりました。
こうしたたたかいの中心になったのはチリ人民自身でした。アジェンデの大統領当選を下からささえたのは、チリの全国各地に結成された一万二千もの人民連合委員会でした。そして、人民連合政府による諸改革の成功は、CUTに結集する百万の労働者を中心部隊としたこのような組織された人民の動員によって保障されたのです。さらに、ベトナム人民をはじめとする世界各地におけ反帝民主主義勢力のたたかいが、チリ人民のたたかいを大いに励まし、それをささえる力になりました。
こうして人民連合政府は、反動勢力の攻撃にあいながらも、着実に人民の支持を拡大していきました。一九七三年三月の国会議員選挙では、他の党派が支持を減らす一方で、人民連合は四三・四パーセントの支持率を獲得して、一九七〇年九月アジェンデ大統領の得票率三六・三パーセントにくらべて、大幅に人民の支持を伸ばしました。
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