わたしたちは歌いたい
千曲川 その水に──大島博光『冬の歌』刊行記念のつどい
A わたしは歌おう
※ わたしたちは歌おう
B 生を変え
C 世界を変え
※ 生を変え 世界を変え
D たたかい生きるのは
E もっと美しいのだと
※ たたかい生きるのは もっと美しいのだと
(※は参加者全員で)
つどいに参加した全員が声を合わせる。
美しい詩の言葉とリズムが、自分のものとなり、仲間のものとなり、心がふくらんでいく、つながっていく…。
第一部の最後、「わたしは歌いたい」の群読が終わっても気持ちは残り、席を立ち去りかねる。「もっと歌いたい、わたしは歌いたい」という気持ちがあふれてくる。普段、詩を読む人も、読まない人も。
十一月二十三日、夜、長野市松代町のサンホール・マツシロで、「千曲川 その水に─大島博光『冬の歌』刊行記念のつどい」が開かれました。
昨年、同じ会場での、板倉弘実詩集『松代大本営』出版記念「詩と絵と音楽のつどい」につづく二回めのとりくみです。
「うまく書けるようになりたい」という長野詩人会議会員の願いは、詩を読む人、求める人がふえることなしにはささえられない、という思いから、詩を書く力量を高めることと同時に、詩を愛する人々をふやしていくことを常に思う私たちは、このつどいのために、「"愛と革命の詩人”大島博光さん、故郷(松代)に帰る」のちらし四〇〇〇枚、案内状三〇〇枚、返信用はがき二〇〇枚(感想・メッセージ要請を含む)、実行委員会ニュース三回(四〇〇枚)を配布しました。
寄せられたメッセージ・感想文は、パンフレットにまとめて参加者にお配りし、欠席者に送りました。
大島博光さんの旧知人をはじめ、神戸、愛知、千葉からの詩人、県労連議長、県高教組委員長、長野合唱団指揮者など、多彩な方々、七十四名が参加されました。
計画の当初は、大島先生に来ていただくのは無理と思っていたのですが、先生から「行こうか」と言っていただいた時は、天にも昇る気持ち。
しかし、結核を患われた大島先生には、十一月末は"地獄の季節"。風邪のために来ていただくことができないことが分かったのは前日。"つどい"のなかみを再検討。せっかく来てくださるみなさんに満足していただけるようにと、前夜おそくまでの準備となりました。
プログラムは、大きなスクリーンに、美しい松代・千曲川の映像(篠ノ井旭高校、中川正巳先生製作)を映しながら、『春がきたら』(大島博光全詩集)の朗読ではじまりました。
ついで、開会のあいさつにかえて、長野詩人会議の中川、荒井、上原の三人が構成詩(『狼煙』一号~四号の作品の中から、十人の作品で。構成、中川あき子)の朗読で、長野詩人会議の紹介を行いました。
『ひとを愛するものは」で始まった詩の朗読。
『不幸はしのび足で』、『君はやってきた』、『わたしは眠ろう 君といっしょに』と続くと、会場は大島博光の詩の世界にひきこまれていく。
ハンカチで涙を拭う人もいました。
「詩集で知っていた言葉が、朗読を通してまったく異質の立体的な言葉となって、私の心の底に落ちてきたのです。すばらしい朗読は詩に生命を吹きこむことだ」と感想文に書いてくださったKさんは、その日、会員になってくれました。
『ヒロシマ・ナガサキから吹く風は』、『夜のサバンナ』、『それは党のおかげだ」そして『千曲川 その水に』とすすむと、会場の雰囲気が高揚して、よい演劇をみる時のような雰囲気が生じて、「朝まで聞いていたかった」ともらす人も。
朗読は青年劇場・勝山春子さんと長野合唱団・古沢望さん。
勝山さんは、前日から来てくださって、朗読の指導をしてくださいました。
寸暇を惜しんで、練習に打ち込む勝山さんの姿に、プロのすごさを見ました。
練習を繰り返す中で、古沢さんは飛躍的に成長。会場から、「青年劇場の人?」と声が出るほど。古沢さんにはこの日、長野詩人会議の会員になっていただきました。
長野合唱団指揮者・渡辺亨則さんが徹夜で選曲し、同じく徹夜に近い状況で小林啓子さん(会員)が編集してくださった井上頼豊のチェロの音楽と、松代中学校演劇班(小林啓子先生指導)の生徒の照明が、効果を盛り上げました。
「あの音楽は、勝山さんと組んでいらっしゃる専門家の方がなさったんでしょ?」という声もあったほど。
大島先生欠席にいたる"つどい"の取り組みの経過を、小林その事務局長が報告。
「ほんとうに行きたいんだよ」と繰り返しおっしゃっていた大島先生の言葉と、ひたすら詩に打ち込む先生の生活を報告、了承をお願いしました。
大島先生に代わって、長野詩人会議の板倉弘実代表から、大島先生の「年譜」、「巨(おお)きな人」、「その詩」などのレジメにしたがって、三十分ほどお話を聞きました。
芸術至上主義から社会主義レアリスムへの苦闘をへての大島先生の巨(おお)きさ、そして謙虚で誠実、あたたかな人柄にふれ、詩に対する大島先生の情熱に圧倒されたと話す板倉代表の言葉にあふれる真情から、参加者はそれぞれ大島先生の人柄を感じとっているようでした。
また板倉代表は、大島先生が今回無理をしても松代に来られようとした(二十余年ぶりだそうです)お気持ちの中には、たんにふるさとに対する思いだけでなく、長野詩人会議やその仲間に対する大きな期待があったからではなかったか。
八十年をかけて"愛と革命の詩"に挑んでこられた、そのすべてを伝え、さらに発展させてほしいとされる大島先生から学びつくし、それを発展させていこう、と訴えました。
このことに関連して、板倉代表は、「長野の仲間の中に"大島先生を超える"可能性をもった詩人がいる」という感想文があった。大島先生は、長野の会員に「行動・実践する詩人」がいることを一番喜び、期待しておられる、と報告。
最後に、大島先生に、春あるいは夏、かならず松代に来ていただいて、『冬の歌』からさらに、『春の歌』、『夏の歌』、『実りの秋の歌』をうたっていただきたい、と結びました。
参加者からは、「大島先生にお会いできなかったことは本当に残念だったけれど、反面、大島先生ご自身の口からは聞くことのできない姿を知ることができた。会場に大島先生がいらっしゃるように感じた」、との声がありました。
第二部では、四十余名が盃をかわしながら懇親、交流を深めました。
松代平和歌う会の仲間が、「たたかいの中に」、「ノーパッサラン」、「泉のほとり」などの美しいコーラスを披露。
多忙な中を参加してくださった県高教組の中沢憲一委員長から、「"愛と革命"の詩のすばらしいひと時をもつことができた。"指導者"には詩心が必要です」とあいさつをいただき、愛知から駆けつた長谷川節子さん、千葉の武力也さんらの詩人、新保五一さん、長谷川健さんら大島先生の旧知の人たちなどからも、あいさつをいただきました。
すばらしい"つどい"をもつことができて、長野詩人会議はこれを機会にいっそう確信を深め、前進していくことができます。
ご協力いただいた皆さんに心から御礼申し上げます。
《付記》
「12・8平和集会」の実行委員会から、長野詩人会議あて、「平和集会のための"群読"の詩をつくってほしいとの要請がきています。
(小林その)
(『狼煙』5号 1991年12月)
千曲川 その水に──大島博光『冬の歌』刊行記念のつどい
A わたしは歌おう
※ わたしたちは歌おう
B 生を変え
C 世界を変え
※ 生を変え 世界を変え
D たたかい生きるのは
E もっと美しいのだと
※ たたかい生きるのは もっと美しいのだと
(※は参加者全員で)
つどいに参加した全員が声を合わせる。
美しい詩の言葉とリズムが、自分のものとなり、仲間のものとなり、心がふくらんでいく、つながっていく…。
第一部の最後、「わたしは歌いたい」の群読が終わっても気持ちは残り、席を立ち去りかねる。「もっと歌いたい、わたしは歌いたい」という気持ちがあふれてくる。普段、詩を読む人も、読まない人も。
十一月二十三日、夜、長野市松代町のサンホール・マツシロで、「千曲川 その水に─大島博光『冬の歌』刊行記念のつどい」が開かれました。
昨年、同じ会場での、板倉弘実詩集『松代大本営』出版記念「詩と絵と音楽のつどい」につづく二回めのとりくみです。
「うまく書けるようになりたい」という長野詩人会議会員の願いは、詩を読む人、求める人がふえることなしにはささえられない、という思いから、詩を書く力量を高めることと同時に、詩を愛する人々をふやしていくことを常に思う私たちは、このつどいのために、「"愛と革命の詩人”大島博光さん、故郷(松代)に帰る」のちらし四〇〇〇枚、案内状三〇〇枚、返信用はがき二〇〇枚(感想・メッセージ要請を含む)、実行委員会ニュース三回(四〇〇枚)を配布しました。
寄せられたメッセージ・感想文は、パンフレットにまとめて参加者にお配りし、欠席者に送りました。
大島博光さんの旧知人をはじめ、神戸、愛知、千葉からの詩人、県労連議長、県高教組委員長、長野合唱団指揮者など、多彩な方々、七十四名が参加されました。
計画の当初は、大島先生に来ていただくのは無理と思っていたのですが、先生から「行こうか」と言っていただいた時は、天にも昇る気持ち。
しかし、結核を患われた大島先生には、十一月末は"地獄の季節"。風邪のために来ていただくことができないことが分かったのは前日。"つどい"のなかみを再検討。せっかく来てくださるみなさんに満足していただけるようにと、前夜おそくまでの準備となりました。
プログラムは、大きなスクリーンに、美しい松代・千曲川の映像(篠ノ井旭高校、中川正巳先生製作)を映しながら、『春がきたら』(大島博光全詩集)の朗読ではじまりました。
ついで、開会のあいさつにかえて、長野詩人会議の中川、荒井、上原の三人が構成詩(『狼煙』一号~四号の作品の中から、十人の作品で。構成、中川あき子)の朗読で、長野詩人会議の紹介を行いました。
『ひとを愛するものは」で始まった詩の朗読。
『不幸はしのび足で』、『君はやってきた』、『わたしは眠ろう 君といっしょに』と続くと、会場は大島博光の詩の世界にひきこまれていく。
ハンカチで涙を拭う人もいました。
「詩集で知っていた言葉が、朗読を通してまったく異質の立体的な言葉となって、私の心の底に落ちてきたのです。すばらしい朗読は詩に生命を吹きこむことだ」と感想文に書いてくださったKさんは、その日、会員になってくれました。
『ヒロシマ・ナガサキから吹く風は』、『夜のサバンナ』、『それは党のおかげだ」そして『千曲川 その水に』とすすむと、会場の雰囲気が高揚して、よい演劇をみる時のような雰囲気が生じて、「朝まで聞いていたかった」ともらす人も。
朗読は青年劇場・勝山春子さんと長野合唱団・古沢望さん。
勝山さんは、前日から来てくださって、朗読の指導をしてくださいました。
寸暇を惜しんで、練習に打ち込む勝山さんの姿に、プロのすごさを見ました。
練習を繰り返す中で、古沢さんは飛躍的に成長。会場から、「青年劇場の人?」と声が出るほど。古沢さんにはこの日、長野詩人会議の会員になっていただきました。
長野合唱団指揮者・渡辺亨則さんが徹夜で選曲し、同じく徹夜に近い状況で小林啓子さん(会員)が編集してくださった井上頼豊のチェロの音楽と、松代中学校演劇班(小林啓子先生指導)の生徒の照明が、効果を盛り上げました。
「あの音楽は、勝山さんと組んでいらっしゃる専門家の方がなさったんでしょ?」という声もあったほど。
大島先生欠席にいたる"つどい"の取り組みの経過を、小林その事務局長が報告。
「ほんとうに行きたいんだよ」と繰り返しおっしゃっていた大島先生の言葉と、ひたすら詩に打ち込む先生の生活を報告、了承をお願いしました。
大島先生に代わって、長野詩人会議の板倉弘実代表から、大島先生の「年譜」、「巨(おお)きな人」、「その詩」などのレジメにしたがって、三十分ほどお話を聞きました。
芸術至上主義から社会主義レアリスムへの苦闘をへての大島先生の巨(おお)きさ、そして謙虚で誠実、あたたかな人柄にふれ、詩に対する大島先生の情熱に圧倒されたと話す板倉代表の言葉にあふれる真情から、参加者はそれぞれ大島先生の人柄を感じとっているようでした。
また板倉代表は、大島先生が今回無理をしても松代に来られようとした(二十余年ぶりだそうです)お気持ちの中には、たんにふるさとに対する思いだけでなく、長野詩人会議やその仲間に対する大きな期待があったからではなかったか。
八十年をかけて"愛と革命の詩"に挑んでこられた、そのすべてを伝え、さらに発展させてほしいとされる大島先生から学びつくし、それを発展させていこう、と訴えました。
このことに関連して、板倉代表は、「長野の仲間の中に"大島先生を超える"可能性をもった詩人がいる」という感想文があった。大島先生は、長野の会員に「行動・実践する詩人」がいることを一番喜び、期待しておられる、と報告。
最後に、大島先生に、春あるいは夏、かならず松代に来ていただいて、『冬の歌』からさらに、『春の歌』、『夏の歌』、『実りの秋の歌』をうたっていただきたい、と結びました。
参加者からは、「大島先生にお会いできなかったことは本当に残念だったけれど、反面、大島先生ご自身の口からは聞くことのできない姿を知ることができた。会場に大島先生がいらっしゃるように感じた」、との声がありました。
第二部では、四十余名が盃をかわしながら懇親、交流を深めました。
松代平和歌う会の仲間が、「たたかいの中に」、「ノーパッサラン」、「泉のほとり」などの美しいコーラスを披露。
多忙な中を参加してくださった県高教組の中沢憲一委員長から、「"愛と革命"の詩のすばらしいひと時をもつことができた。"指導者"には詩心が必要です」とあいさつをいただき、愛知から駆けつた長谷川節子さん、千葉の武力也さんらの詩人、新保五一さん、長谷川健さんら大島先生の旧知の人たちなどからも、あいさつをいただきました。
すばらしい"つどい"をもつことができて、長野詩人会議はこれを機会にいっそう確信を深め、前進していくことができます。
ご協力いただいた皆さんに心から御礼申し上げます。
《付記》
「12・8平和集会」の実行委員会から、長野詩人会議あて、「平和集会のための"群読"の詩をつくってほしいとの要請がきています。
(小林その)
(『狼煙』5号 1991年12月)
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