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党の詩人・アラゴン(上)フランスの起床ラッパ──世界の共産党員物語 アラゴン

ここでは、「党の詩人・アラゴン(上)フランスの起床ラッパ──世界の共産党員物語 アラゴン」 に関する記事を紹介しています。

タイトル
2


(『月間学習』1987年8月)

池



♣フランスの起床ラッパ
 第二次世界大戦中、ナチス・ドイツ軍による占領下でくりひろげられたフランス・レジスタンスにおいて、アラゴンの活動はめざましいものでした。『断腸詩集』『フランスの起床ラッパ』などの美しい詩で人びとを鼓舞すると同時に、「全国作家委員会」を創設して知識人の抵抗を組織したのです。このレジスタンスの詩のなかで、いまもひろく愛誦されている詩に、『責苦のなかで歌ったもののバラード』があります。これは、共産党の指導者ガブリエル・ペリがナチの残酷な拷問責め苦にも屈せずに倒れた、その英雄主義をほめたたえた詩です。

もし もう一度 行けとなら
わたしはまた この道を行こう
ひとつの声 牢獄より起こり
明日の日を 告げる

おお 友よ わたしが死んだら
わたしの愛と わたしの拒否とがなんのためだったかわかるだろう
わたしは死ぬが フランスは残る
(『フランスの起床ラッパ』)

 また、ナチの軍靴にふみにじられた大学と学生を歌った『ストラスブール大学の歌』のなかには、つぎのような有名な詩句があります。

教えるとは 希望を語ること
学ぶとは 誠実を胸にきざむこと

 これほど真の教育の本質、ありようをみごとに語った詩はまれです。

♣共産党の詩
 さて、一九五四年に刊行された詩集『眼と記憶』には、「どのようにして水は澄んだか」「ひとは遠くからやってくる」など、共産党と党員のありようを歌った、注目すべき党の詩があります。このように党と党員とが大きなスケールで歌われたことはかつてなかったといっていいでしょう。あらゆる階層の人びとが古い残滓《ざんし》をいだいたまま党に入ってきます。

彼らは 夢を抱いて 四方からやってくる
古い砂と泥とを ごっちゃにころがせながら
四方からやってくる いかに美しいうそ八百も
彼らをおしとどめることはできないだろう

彼らは四方からやってくる 論争と風波のいつはてるともない ざわめきをたてながら
彼らは 自然の海へとむかって流れこみ
ついに澄んだ水は そこに寄りあいとけあう

人びとが自分のうしろに靄《もや》や もやもやをひきずっていることなどは 重要なことではない
なぜなら 大陽がわれらの前に輝いているから
その太陽こそ わたしの党なのだ

みんながめいめい 自分の歴史を物語るべきだ
どのように党へやってきて どのように変ったか
どのようにして水は澄んだか そうすれば、
みんながそこから階級なき未来を飲みとれよう

 これらの詩句からは、苦しい長い自己批判と自己変革をとおして「澄んだ水」となったアラゴン自身の姿が透けて見えるようです。
(つづく)

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