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乱丁本  西山克太郎

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修


(『角笛』21号 1961年12月)

エクスプルワ



  乱 丁 本
                    西山克太郎 
     1
その静かな夜のなか、点滅する意志が、家父長制の上に垂れ下っていく
地球の裏側や第三の穹にくりひろげられていき、やがて消滅するものがある

律法の番人共がつくりあげたピケット・ラインを、武器なき武器がぶちやぶる
その雲間をやぶった手が、トロツキズムとアナキズムの合の子となる

つめたい風と、あたたかい陽差しがむかえる、やがてくるひかり
人間の、人間のための栄光を

その人にふさわしい血もわかない
沈んだ思惟のつめたいかげり

赤い尾をひいてエア・チャアトを翔ける、半島のクゥ・デ・タ
ケェブカナベラルの火箭
ラオスの砲火

     2
陰にこもった声が脳髄のひだをおりてくる
ポオカア・フエイスがビリビリとけいれんすると
錬金術めいた政治のとばりがひきさかれる
政暴法反対のビラが足もとから舞い上ると
しとしととふりはじめた秋雨のなかで静かに景気が傾いていく

酔いどれた民族資本家の間から、
噴き上げてくるヒステリアの逆流がある
自由化のよびおこす国産品愛用のかけ声が
潜在右翼の資金網を拡げていく

外貨ポジションの危機を告けながら巨大資本は
ダウ平均の起伏の谷をぬってとび
挫折の床に座りなおした零細企業の親方は
経験と感のドンブリ勘定の腹をさすりながら、手形のサイトを数える。

相変らず脳髄のひだをおりてくる陰にこもった声がする
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