ガブリエル・ペリの伝説(抄)
ルイ・アラゴン
大島博光訳
墓場はイヴリイ
その共同墓地の奥に
月も出ぬ闇のなかに
横たわる ガブリエル・ペリ
殉難者(かれ)はなおも悩まし現れる
あの暗殺者どものこころに
民衆の涙の落ちるところに
かずかずの奇跡があらわれる
伝説的な死者たちの眠るところ
影は つねに叫びつづける
そこに あやしく花咲きつづける
青い紫陽花(あじさい)の花が 日暮れ頃
そこ イヴリイの墓地にひらく
その扉を閉ざしても むだだ
夜ごと誰かが 花を捧げにくるのだ
かくて ガブリエル・ペリは花咲く
ああ イヴリイの墓地に
われらの不幸の花束は重い
だが その花の色はかるい
ガブリエル・ペリの気に入るように
やつらは もみ消し去ろうと企てる
だが ここ イヴリイの墓地に
吹きゆく風は 過ぎゆくひとに
ガブリエル・ペリの名を告げる
こころなき 冷めたい大地のしたに
フランスのため いまも高鳴る
ガブリエル・ペリの心臓は高鳴る
そこ イヴリイの墓地に
(『フランスの起床ラッパ』)
ルイ・アラゴン
大島博光訳
墓場はイヴリイ
その共同墓地の奥に
月も出ぬ闇のなかに
横たわる ガブリエル・ペリ
殉難者(かれ)はなおも悩まし現れる
あの暗殺者どものこころに
民衆の涙の落ちるところに
かずかずの奇跡があらわれる
伝説的な死者たちの眠るところ
影は つねに叫びつづける
そこに あやしく花咲きつづける
青い紫陽花(あじさい)の花が 日暮れ頃
そこ イヴリイの墓地にひらく
その扉を閉ざしても むだだ
夜ごと誰かが 花を捧げにくるのだ
かくて ガブリエル・ペリは花咲く
ああ イヴリイの墓地に
われらの不幸の花束は重い
だが その花の色はかるい
ガブリエル・ペリの気に入るように
やつらは もみ消し去ろうと企てる
だが ここ イヴリイの墓地に
吹きゆく風は 過ぎゆくひとに
ガブリエル・ペリの名を告げる
こころなき 冷めたい大地のしたに
フランスのため いまも高鳴る
ガブリエル・ペリの心臓は高鳴る
そこ イヴリイの墓地に
(『フランスの起床ラッパ』)
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