(『エルザの狂人』 第4章 「一四九一年」)
第4章 「一四九一年」は、人間と時間との関係という主題を扱った一連の詩によって構成される。(「時計」「冬」「春」)
アンダルシアのマジュヌーンは異端として裁判にかけられる。ひとりの女を崇拝することは、つまり神に向けるべき崇拝を女性にむけることは宗教に反する罪となるからである。それに彼の狂気はその不信心をかくす仮面にすぎないのではないか。彼は牢獄に投げこまれる。そこにはまた「姦淫の罪を犯した男」が投げこまれていた。
その間にも、グラナダの包囲網は締めつけられて、敵は郊外に迫っていた。しかし、モール人たちのグラナダは内部抗争の舞台となっていた。「熱狂者たちが広場に現われて、ある者は、カスチリヤの侵略者にたいして武装しようと聴衆を扇動し、またある者は、大臣や軍部やユダヤ人を名指しして、攻撃すべきは裏切りの都(みやこ)であると叫んだ」
民衆の蜂起を怖れて、警察は急いで市民たちの逮捕を始める。カサバの牢獄はあらゆる種類の人間によって溢れる。
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