(『エルザの狂人』 第1章 グラナダ)
* 最初の章は、北アフリカからやってきて、スペインを征服したムーア人たちのグラナダを、イスラム独特の相のもとに描いている。その社会では、すべての階級にわたって、ひとびとは詩作や文学にたいして旺盛な愛好を抱いていた。
ボアブディルの肖像は、崩壊する小さなグラナダ王国の最後の王として描かれる。それはカスチリアが宣伝に用いた「ちいちゃな汪」Key chico というイメージには意を介さない。
青年はそこではすべての王におけるように、二十歳になると暴力に走り、口づけを求め、若者の血気で神や愛を否定する。(「ちんぴらの歌」を参照)ムーア人の若者たちと現代の黒皮のジャンパーを着た街の不良たちとの類似は偶然ではない。
(『エルザの狂人』解説)
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