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『フランスの起床ラッパ』 訳出したころの感動

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書架散策
ルイ・アラゴン『フランスの起床ラッパ』
訳出したころの感動


 あの愚かな侵略戦争のあいだ、わたしは詩人としてどのように生き、どのように書くべきか、何もわからず、ただ昏迷(こんめい)し、絶望していた。
 敗戦後まもなく、第二次大戦中のフランス・レジスタンスの詩、とりわけアラゴンの『フランスの起床ラッパ』をよんだ時の、めまいのするような感動をわたしは忘れることができない。『ガブリエル・ペリの伝説』などを訳出すると、わたしはさっそくそれを詩の集会で朗読したりした。

 墓場はイヴリイ
 その共同墓地の奥に
 月も出ぬ闇のなかに
 横たわる ガブリエル・ペリ

 この詩は、ナチスの拷問とたたかって銃殺されたガブリエル・ペリをほめたたえた、まったく新しい叙事詩である。「詩のなかに英雄が登場する時から、革命的ロマンティスムは始まる」(アラゴン)というテーゼを、彼みずから実践してみせた作品である。
 『フランスの起床ラッパ』に収められた詩は、みな生死を賭(か)けた闘いのなかで書かれ、闘いを反映し、「歌うたう武器」として闘いに参加した作品である。それはコピーされて、ひとの手から手へと、また口から耳へと伝えられ、あるいは連合軍機によって空から撒(ま)かれたのだった。出版されるとベスト・セラーとなり、ヴィクトル・ユゴーの『懲罰詩集』以来のひろい読者を獲得したといわれる。
 この詩集には、ひとびとの口にのぼって、ひろく有名となった詩句がいくつもある。例えば、「神を信じたものも/信じなかったものも」という「薔薇と木犀草」のなかの詩句は、人民の共同・統一を呼びかげる合言葉ともなっている。あるいは

 教えるとは 希望を語ること
 学ぶとは 誠実を胸にきざむこと

という詩句は、とりわけ教職にある先生たちからひろく支持され、愛誦(あいしょう)されたし、これからも愛誦されるだろう。ここに歌われているのは、実践的な真実だからである。そうしてそのことは、「詩は実践的な真理を目的としなければならない」というロートレアモンの言葉が、この詩において実現されていることを意味するであろう。
                       (詩人)
 新日本文庫など所収

(「赤旗」一九九七年三月十一日)
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コメント
この記事へのコメント
船橋二和病院健康友の会で60歳位の男性から「大島博光の詩に感動して教師になった、大学でフランスの起床ラッパ=教えるとは希望を語ること、学ぶとは誠実を胸に刻むこと=を読んで」と言われました。この詩にはそういう力があったんですね。
2010/03/12(金) 07:26 | URL | 管理人 #.8NYFuLM[ 編集]
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