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ドン・ミゲル・デ・ウナムノに   アントニオ・マチャード

ここでは、「ドン・ミゲル・デ・ウナムノに   アントニオ・マチャード」 に関する記事を紹介しています。
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ミゲル


(『マチャード/アルベルティ詩集』 1997年)
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馬





ドン・ミゲル・デ・ウナムノに
 ──その著『ドン・キホーテとサンチョの生涯』のために 
                      アントニオ・マチャード

ドン・キホーテにも似た
たくましいバスクびと ドン・ミゲル・デ・ウナムノは
あの「ラ・マンチャの騎士」の
巨きな甲冑と滑稽な兜をつけ
ドン・ミゲルは おのれの道をゆく
空想の馬にまたがり
おのれの狂気に 黄金の拍車を入れ
悪口毒舌のやからを怖れない

騾馬引き そこつ者 ばくち打ち
そして高利貸しのやからに
彼は「騎士道」の教えを説く
だが 神も法も怖れぬやからの魂は
彼の鉄槌をうけても まだまどろんでいるが
いつか きっと目覚めるだろう

彼は 騎士が突進する前に
懐疑の皺を騎士に教えようとする
新しいハムレットのように 彼は見つめる
自分の心臓に突きつけられた抜身の鋼《はがね》の刃を

彼には わが家からはるか遠い
海の彼方に 黄金を求めてゆく
たくましい一族の息吹きがある
彼は 死の彼方の 栄光を指さす
彼は建設者になりたいと思う 彼は言う──
わたしは信じる さあ前進 わがスペインの魂よ
彼はまた ロヨラにもましてりっぱである
彼はイエスを識り 偽善者につばを吐きかける

訳注* ロヨラ──イグナス・ド・ロヨラ(一四九一ー一五五六)改宗した貴族で、パリに「イエズス会」を設立した。この建設は一五四〇年、法皇によって認められた。

(詩集『カスチリヤの野』より)
(大島博光訳)
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