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わたしはたくさんの道を知った   アントニオ・マチャード

ここでは、「わたしはたくさんの道を知った   アントニオ・マチャード」 に関する記事を紹介しています。

わたしは


(『マチャード/アルベルティ詩集』 1997年)

空グレ




わたしはたくさんの道を知った 
                          アントニオ・マチャード

わたしはたくさんの道を知った
多くの小道を通り
多くの海を渡り
多くの岸べに立ち寄った

いたるところで わたしは見た
いろいろな人たちを 悲しげで
誇り高く 憂愁をたたえ
暗い闇で酔いどれた人たちを

そして知ったかぶりの人たちは 舞台裏で
じっと見て ものも言わず 自分を
学者だと思い込んでいる なぜなら
かれらは居酒屋の酒を飲まないから

道を歩いて行きながら
大地を汚すような汚い人たちもいた

そしていたるところで わたしは見た
暇があれば 踊ったり
遊んだりしていて 猫の額ほどの
土地を耕している人たちを

どこからかやってきて
ここはどこかとも尋《き》かない人たち
出かけてゆくときは
驢馬の背に乗ってゆく人たち

その人たちは急ぐことを知らない
祭りの日でさえも
酒があれば 酒を飲み
なければ 冷めたい水を飲む

生きて 働いて 道を行き
夢みる 人のいい素朴な人たち
そして ある日 他のみんなと同じように
土の下に横たわる人たち

(詩集『孤独』より)

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