マルクスからクーゲルマンにあてた一八七一年四月一二日付の手紙は、パリ・コミューンが活動している期間に書かれたもので、レーニンが特別な重要性を認め、すべてのロシアの社会民主主義者、すべての文字を知る労働者の住居の壁に額にしてかかげさせたい、と言った文書である。一八七〇年九月の第一の呼びかけのなかでマルクスが、蜂起を起こすことは気ちがいざただ、と言って、フランスの労働者に警告したことは、すでに見たとおりである。しかし、その半年後に、実際にその闘争が起こったときに書かれたこの手紙では、マルクスは、蜂起が絶望的であることを承知しながらも、大衆の歴史的創意を高く評価して、これに熱狂的な賛美をおくっている。この手紙にふくまれている大陸の人民革命の命題については、注解のなかに引用しておいたレーニンの分析を参照されたい。
四月一七日の手紙は、四月一二日の手紙の思想をつづけて、たとえ絶望的なたたかいにでも応じなければならない場合があることを述べ、その成りゆきにかかわりなく、パリの闘争によって世界史的な重要性をもつ新しい出発点が獲得されたことを指摘している。革命家マルクスの真骨頂をよくあらわした文書と言うべきである。
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読者の便宜のために、年表、事項注および人名注を巻末につけておいた。活用されることを希望したい。
訳 者
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