四(エンゲルスの序文について)
エンゲルスの序文については、すでに随所にふれておいたので、くわしく述べることはやめたい。ここにあたえられているパリ・コミューンにさきだつフランスの階級闘争の歴史の概説と、コミューンの活動および戦いの概要は、マルクスの『フランスにおける内乱』への補足となるものである。とくに重要なのは、ブルジョア革命で国政の舵をにぎったブルジョアにとっての第一の必要事は、つねに労働者の武装を解除することであった、というエンゲルスの深い指摘である。
コミューン内部のさまざまな潮流についての記述、その多数派であるブランキ主義者と少数派であるプルードン主義者が自分たちの信条にそむいて、まさにマルクスの学説の示すところにしたがって行動せざるをえなかったことについての説明は、興味ふかい。これと同じ趣旨で、エンゲルスは、一八七四年九月一二─一七日付のフリードリヒ・ゾルゲにあてた手紙で、次のように述べている。「インタナショナルは、コミューンを作るために一指も動かさなかったにもかかわらず、コミューンは知的には無条件にインタナショナルの生みの子であった。インタナショナルがコミューンについて責任があるとされたのは、このかぎりではまったく正しい。」また一八八四年一〇月二九日付のアウグスト・ベーベルあての手紙でエンゲルスが「コミューンは、あらゆるフランス特有の社会主義の墳墓であったと同時に、フランスにとっての新しい国際的共産主義の揺籃であった」と言っているのも、やはり同じ意味である。なおここでブランキ主義者と言っているのは広い意味であって、古い型のジャコバン主義者などもふくめて、革命的少数者による政治革命を目標としていた人々の総称として用いていることを、心えておく必要がある。
民主的共和制が世襲的君主制におとらない階級抑圧の機関だという命題、アメリカで政権をたらいまわしにして国民を略奪している二大政党についての叙述は、レーニンによってとくに重要な指摘として強調された。
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