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英雄的にたたかうマドリード──『愛と革命の詩人ネルーダ』──戦争とファシズムに抗して

ここでは、「英雄的にたたかうマドリード──『愛と革命の詩人ネルーダ』──戦争とファシズムに抗して」 に関する記事を紹介しています。


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(大月書店『愛と革命の詩人ネルーダ』──戦争とファシズムに抗して)

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 英雄的にたたかうマドリードを、かれはこう歌う。

  孤独で 荘厳なマドリードよ
  蜜色の光にみち 喜びに溢れたおまえに
  「七月」は 不意に襲いかかった
  おまえの街通りは明かるく
  おまえの夢も明かるかったのに
  将軍どもの腹黒い襲撃と
  怒り狂った坊主どもの波が
  おまえの膝のあいだに
  泥水と汚水とを流し込んだ
  まだ 眠そうな眼をしたマドリードよ
  おまえは 古ぼけた鉄砲と石で
  自分を守った
  おまえは 街なかを駆けずりまわり
  おまえの 尊い血をしたたらせながら
  海鳴りのような声で ひとびとを呼び集めた
  おまえの顔は 流れる血の色で
  すっかり変わりはてていた
  復讐に燃えた山のような マドリードよ
  怒りの口笛を吹きならし
  匕首をひらめかす 星のような
  マドリードよ

 スペイン戦争は、燃えさかる戦火をとおし、生死を賭けたファシズムとの闘争をとおして、真実はどこにあるか、人類の未来と希望はだれの肩にかかっているかを、ネルーダにさし示した。それまで抽象的な理論であり、漠然とした感情であったところのものが、スペイン戦争によってはっきりとしたかたち《﹅﹅﹅》をとり、かれを飛躍的に前進させる。かれはすでに、「純粋詩」について『緑の馬』にこう書いていた。
 「われわれの追求している詩は、酸にむしばまれたように手仕事ですりきれ、汗と煙りがしみこみ、小便と百合の匂いがし、法の内外で営まれるさまさまな職業のしみがついているような詩である。
 非純粋詩は、着物や肉体のように、食べもののしみ、恥ずかしげな身ぶり、皺、観察、夢、微夜、愛の告白、憎しみの表明、野獣、動揺、恋歌、政治的信念、否定、懐疑、断定、負わされる物たち、などをもつ。」

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