マドリードを守って戦ったハンス・バイムラーへ
ラファエル・アルベルティ
「赤色戦線!」と英雄は叫んだ
そうしてハンス・バイムラーはくず折れた
その叫びを スペイン人たちが聞いた
かれの祖国のドイツ人たちも聞いた
フランス人たちも イタリア人たちも聞いた
マドリードも聞いた 風も聞いた
彼を殺そうとした弾丸も
身ぶるいしながら その叫びを聞いた
「赤色戦線!」 そして誠実な彼は
カスチリヤの大地に倒れた
その男は はるか遠くからやってきて
自分の血を 種子のように撒き散らした
「赤色戦線!」 この叫びをよく聞くがいい
牢獄をはりめぐらしたドイツよ
断じて屈服しようとはしない
不屈な人びとの首のうえに
残酷な斧をふりあげて うちおろす
死刑執行人どものドイツよ
「赤色戦線!」 この叫びは
弾丸のように 唸りをあげて鳴りひびき
海に 大地に 空に 星に
いたるところに 鳴りとどろく
めくるめくほどに 「赤色戦線!」と
この叫びは ついに
人びとの胸のなか深くにとどき
人びとは 赤色戦線を支持し愛し
こんどは その人びとが叫ぶだろう
ハンス・バイムラーの叫んだように
マドリードも この叫びを忘れずに
そのたくさんの銃口で叫ぶだろう
銃口の乾くまで
「赤色戦線!」 彼をのせた列車は
汽笛を鳴らして スペインの野をつっ走る
村々も 小さな部落も 町々も
みんな帽子をぬいで挨拶をおくる
果樹園と庭園のあいだから
ひるがえる旗とオレンジ畑のあいだから
ヴァレンシアが 挨拶をおくる
そう ハンス・バイムラーの遺体に
カタルーニャの海も
葡萄畑も オリーヴ畑も
そしてバルセロナの大通りも
──「赤色戦線!」 彼を見ようと身を乗り出す
パリよパリよ! きみの労働者たちは
葬送の歌をうたいながら
かれを肩にかついで 船へと運び
船は ハンス・バイムラーを連れてゆくだろう
かれの祖国ドイツが
かれに道をひらこうとしないから
「赤色戦線!」 かなたモスクワの
赤の広場で 長い長い葬列で
はてしもない群衆が
歌いながら 彼を葬るだろう
「赤色戦線!」 かしこレーニンのそばに
希わくば かれの静かに眠らんことを
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