そうして死は はてしない海への扉をひらいた
「船乗りと詩人の寓話」より (ロルカの虐殺について) アラゴン 大島博光訳
きみは きみの運命の座に着く
顔もない大勢にまじって
おお 詩人よ ほの暗いひかりよ
ある日 ある夜 ある朝
きみはきみの墓穴を掘り
時をかぞえる かれらとともに
時代の谷間の このどん底で
鳩の歌は 絞め殺される
そのとき きみは思い出したか
ジプシーと天使たちのために
あのマヌエル・デ・ファラが 奏でた
甘美で 奇妙な音楽を
おお しかし 音楽と詩は
突如として 消えうせたのだ
あの庭を きみは思い出したか
きみ自身を 思い出したか
死かそれとも生かを きみは選んだ
しかし きみの死出の道ばたに
野いちごの血は 黒かった
きみの詩に何ができたろう
やつらは きみを壁の根元に据え
獲物のように 狙い撃った
そこは谷間だったか 牧場だったか
木いちごの実が 熟れていた
もう 見分けられないだろう
髑髏《しゃれこうべ》の群から きみの白い骨は
グラナダとマリグラヌとは
きみの愛した野ときみの歌とは
(自筆原稿)
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