わたしも見た 中国の若者たちに 大島博光
わたしも見た テレビの画面のなかに
整然と 自由と民主主義と対話を叫んで
天安門広場を埋めた学生たち 市民たちを
インタナショナルを歌っていた若者たちを
わたしも見た やつらが白を黒と言い
平和的な意志表示《デモンストレーション》を 動乱だ 暴乱だと言って
若者や市民たちに 戦車隊をさし向けたのを
世界じゅうが見つめている その眼のまえで
わたしも見た 天安門広場に流された血を
路上に倒れたたくさんの死者たち 若者たち
負傷者をリヤカーで走って運ぶ娘たち
世界じゅうが見つめている その眼のまえで
しかし天安門広場に流された若者たちの血は
けっして消えることなく叫びつづけるだろう
やつらの暴虐を 腐敗を 狂気を
世界じゅうが見つめている その眼の前で
やつらには 人間の顔も 心もない
そこには あの自由も 平等も 友愛もない
だが 自由を求め真実を見た若者たち人民を
鉄砲や鎖で抑えつけることはできないだろう
一九四九年 中国人民がついに勝利したとき
天安門に湧きあがった希望を わたしは歌った
揚子江のほとり 火は天を焼きこがしていたと
いまその希望と火を 消し去ってはならない
それなのにやつらは 反共主義者のまねをして
魔女狩りを始め 若者たちをひっとらえる
選《よ》りに選ってよい種子《たね》を 優れた息子たちを
おお おのれの権力にしがみつくその醜悪さ
そんなものは社会主義とは縁もゆかりもない
やつらこそがみずから動乱暴乱をつくり出し
ふたたび 時代おくれの個人崇拝をもち出し
ふたたび 社会主義の顔に泥を塗っているのだ
やつらは権力を私物化して 無原則に
血にまみれたポル・ポトなどを支持して
社会主義ベトナムを侵略した その逸脱 狂気
そんなものは社会主義とは縁もゆかりもない
専制と腐敗に抗し 独裁と暴力に抗して
戦車にもひるまなかった中国の若者たちに
わたしは民主主義者の連帯の挨拶を送る
人民はいつかかならず狂気に勝利するだろう
一九八九年六月
(「赤旗」1989年6月18日)
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