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詩人兵士へおくる詩

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詩人兵士へおくる詩
    詩人兵士繁野純へ 服部伸六へ 小山田輝彦へ
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朝はきて君の額に星を置く
君は立ちあがり窓ひらく
生命を變へるといふ希望の上に
そして君の肉體は包まれる
黄金色の穂に鉾に

新しい大地に君は立つ
鋼の空氣 裸かの太陽
新しい酒が流される
ひびく蹄 火の喇叭
新しい祭りがひらかれる

街街の暗い不幸に歌ってゐた
君のひらめく歌聲は
鉛の雨に洗はれる
地平綠の鐵床 焰の風
君の斧はきたへらる

燃える深淵 鐵の壁
君の眼《まなこ》は豊穣に
抉りとり収穫する
そして君の髮の毛のなか
いつも小鳥は眼醒めてゐる

君の馬にはよき翼
君の鉾には稲妻を

(『蝋人形』 昭和十五年一月号)

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