ベトナム作戦 ギュヴィック 大島博光訳
1
きみらを見ていると
きみらは穴をあけて
死者たちで飾りつけしているようだ
2
きみらのおかげで 虚無が
噛みくだいて 反芻しているのだ
生命をなくした
人間のかたちをした虚無が
3
きみらの正体を見とどけるのに
これらすべての死者たちが必要だった
きみらは その姿で
世界の歴史に刻みこまれるだろう
4
きみらを見ていると
虚無のくろうとというものが
この世にはいるのだ という気がする
5
やはりその穴は
ふさがりはしないし
ほかのひとたちの眼も閉じはしない
いや その眼は燃えているのだ
きみらの眼の前で
(『詩人会議』一九七二年八月)
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