FC2ブログ

ドブジンスキー「力の点検──10 わたしはわたし自身と話しあう」

ここでは、「ドブジンスキー「力の点検──10 わたしはわたし自身と話しあう」」 に関する記事を紹介しています。


6



(自筆原稿)

1



 力の点検  
                  ドブジンスキー  大島博光訳

  10

わたしはわたし自身と話しあう
わたしはつんぼになりわからずやになる
わたしのなかは 記憶で重く
まどろみのようにぼやけている

わたしは穴のとおせぬ石だ
がらくたを積みあげた廃墟だ
わたしに似たもののなかに敵がおり
影たちのなかにわたしに似たものがいる

わたしは曳かれ舟のような青春をだいて
しのび足で死のなかにはいる
うわべは生きているが うちがわでは
太陽がわたしを凍えさせる
わたしは生きながら二つに裂かれる
そうして 道ばたの散歩者のように
光りは さかさまにうち倒されていた
わたしの心がおし倒したのだろう

わたしはわたしの兄弟であり鏡だ
そこにわたしの見あきた夢が沈んでいる
おお 矛盾する二つの声が
わたしのくちのなかに根をはやす

わたしは二つのわたしを育てる
問うわたしと答えるわたしを
そうして木いちごの茂みのなかの
桑の実のような真実を探しもとめる

わたしのこころのなかの戦場で
白い声と黒い声とがしのぎをけずり
わたしの信念をふみかため
わたしの命の浮きかすをすくいとる
板ばさみの中をわたしはくねって進む
人生は 飲みほさねばならぬ海だ
かつて歌ったうたが ボールのように
わたしを苦い悔いへ はねかえす

わたしの眼に 塩がたまる
仕事をするわたしの手は凍える
大地のふるい蝶つがいはこわれた
そうして裸かになる太陽をわたしは見る

わたしは語る はてしなく開き
また閉ざす窓のように
語るとは 生れかわるかぎだ
だが ことばは包みかくす肌をもたぬ

もつれこんぐらかる話しあいのなかで
わたしはうち返えす波にもまれるようだ
夜がわたしの丸木舟の向きを変える
わたしの宝はみんな鞄のなかにしまわれた

関連記事
コメント
この記事へのコメント
コメントを投稿する
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可する
 
トラックバック
この記事のトラックバックURL
http://oshimahakkou.blog44.fc2.com/tb.php/4218-42c1efbb
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
この記事へのトラックバック