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愛のポエム 幸福とエルザについての散文

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愛のポエム──アラゴン

幸福と


解説 大島博光(詩人)
 アラゴンは、フランスのレジスタンスの代表的な詩人として、また多くの愛のシャンソンの詩人として、日本でもひろく知られています。かれは第一次世界大戦の時代に青春を迎えた、あの輝かしい世代の典型的な詩人です。かれはシュルレアリスムの詩運動のうちに見いだした反抗を、やがて共産主義のなかで追求し発展させることになります。しかしそれはまた、古い人間から新しい人間へと自己を改造することであり、アラゴンは多くの苦しみにみちた、きびしい自己批判と実践をとおして、それを追求しつづけます。この苦しい改造を助けてくれたのが、妻のエルザであり、エルザの愛でした。これをたんに愛による救いというだけでは、皮相に過ぎます。エゴイズムや退廃のみなもとである個人主義から脱けでるためには、他者をみとめ、他者を愛することが必要です。「愛するひとよ、わたしはおまえの眼をとおしてこの世界を見る。この世界をわたしに感知させ、わたしに人間らしい感情を自覚させてくれるのはおまえだ……」と彼は書いています。ここにはひじょうに重い意味があります。彼はそこから論をすすめて、新しい未来社会においてもその社会的精神的基礎となるのは、愛しあう、幸せなひと組の男女──夫婦である、と結論しています。これはきわめて深い洞察です。
 ここに掲げた詩も、その愛の力、愛の意味を、詩のことばで、いっそう美しく、いっそう具象的に表現しています。この詩は六〇歳に近い頃に書かれた詩ですが、つねに青春を愛した、詩人の若わかしい精神が躍動しています。「あのまぶたのしたに秘めたアネモネ色の眼」──この美しいイメージこそは詩にぞくするものです。
(詩は角川書店版『アラゴン詩集』一八八ページ)

アラゴン

(『学習の友』連載「愛のポエム」1979.4)

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