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一八七一・三・一八の巴里 叙事詩「巴里コムミュン」第一章

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 一八七一・三・一八の巴里

  叙事詩「巴里コムミュン」第一章
                             上田進
  
鐘だ!…… 鐘だ!……
めちゃくちゃに打鳴らす警鐘!
おい! 起きろ! 支度をしろ!
銃だ! 劍だ! 旗だ! ラッパだ!
さあ、行こう
お父つあん、おつ母さん、姉さん
小っちゃなジャン、お前もだ!
ほら、銃声がきこえる
狼の様なチェールの軍が攻めて来たんだ
おれたちは、殺されるか、自由になるか
だがおれたちは勝つ!
見ろ! 見ろ!
──出て来る ──出て来る!
歪んだ戸口から、破れた窓から
じめじめした地下室から……
おれたちの仲間だ!
ボロボロの服を着た労働者達
髮を振乱した裸足の若い女達
煤と埃にまみれた子供達……
みんな同志だ!
ナポレオン以末の圧制と搾取と
屈辱と苦痛とに対する
不満、憤怒が、反抗が
今こそ一気に戸外に飛び出したのだ
広場に集ったのだ
巴里の大道を埋めたのだ
積年の敵に向って進軍を初めたのだ
ラッパを吹け! 太鼓を叩け! 足音を高く踏みならせ!
おれたちの憤りの爆発だ!
銃を握った拳の固さを見ろ! おれたちの力だ!
旗を振っている腕の太さを見ろ! おれたちの力だ!

何?やつらの軍勢は三万だと?
よし、おれたちはここに数万居る
何を恐れることがあろう!
その上、国内に数百万の仲間!
ドイツの数千万の同志もおれたちを支持している
イギリスにも、スペインにも……、そうだ世界中に
後押をする無数の同志!
何? やつらには精鋭の武器があると?
よし、おれたちにもある
二十サンチの大砲から鋳びた短銃まで…….
だが、おれたちの最大の武器は団結だ!
かがやけるブロレタリアの魂だ!
進め! この赤旗につゞけ!
おお、赤旗、おれたちの勝利、おれたちの自由のシムボル!
進め! モンマルトルへ
(巴里の夜明けだ!)
やつらがねらっているのは二百五十門の大砲だ
おれたちの武器を渡してはならない
モンマルトルへ、よし、モンマルトルへ……
女達は大砲を守って立った.
胸を叩いて叫んだ――「打て!この胸を」
銃……三発……五発……
おい同志をころすな!
やつらの銃を叩き折れ!
進め! この赤旗につゞけ!
朝だ!
敵の士官は気狂の様に軍刀を振りまわした
だが、おい、見ろ! 兵士達は動かない
おお兵士諸君! そうだ、それでいいのだ
君達の真実の敵は君達の背後にあることが
わかったか! ともだちよ
よし、君達の武器を君達の指揮者にむけろ!
ブルジョアの走狗──將軍ルコントを打倒せ!
群集の前に引出された將軍ルコントよ
泣きわめいたとて何になるか?
おまえの心臓を打拔いた彈丸の数は
お前が俺達に向って放った彈丸の数の幾万分の一か?

おれたちの進軍を妨げる奴をおれたちは容捨しない!
腕を組め!
突き進め! 巴里の混乱の中に……
邪魔ものは踏みころせ!
奪われた大砲を奪い返せ!
三色旗を焼棄てろ!
プロレタリアの旗と並んで
労働者の都、おれたちの巴里を攻める旗だ!
おれたちの呪もその旗を塗りつぶせ!
一色に──一色でいいのだ
そして全世界が……
.
おれたちの進む足音が銃声を消した!
おれたちの喚声が兵士達の限かくしを取った
おれたちの波がかれらをまき込んで流れた
みんなの手と手が、心と心とが、固く結ばれ……
俺達は暴風──やつらをヴェルサイユまで吹き飛ばした
おれたちは春風──赤い花片を巴里に撒き散らした
赤旗に飾られた三・一八の巴里よ! おれたちの巴里!
おれたちの行列は市庁前の広場へ……
同志の屍骸を越え、街上に流れた血潮を踏んで……
おお、屍よ! 見てくれ!
市庁の円屋根に今日こそ、俺達の旗が翻っているのだ!
微風・太陽は中天に、柔かい熱と光……
君たちの血潮もて彩られた何と輝かしき旗!

市庁のバルコンから、コムミュンが宣言された。
広場に集まった群衆──おれたちだ! おれたちみんなだ! おれたちだけだ!
乱舞する……乱舞する……
旗が躍る
帽子が飛ぶ
歌が……
笑が……
今まで搾取されしめつけられていたおれたちが
勝ったんだ! 自由になったんだ
おれたちのものがおれたちに帰って来たんだ!

この喜びを全世界の同志と分けよう
この力を全世界の同志に自覚させよう
この確信を全世界にぶちまけよう
──パリ・コムミュン万歳!
──パリ・コムミュン万歳!
躍れ!歌え!
だが、銃を放すな
戰は継続する

おい! 第二の戦に備えるんだ!
おれたちは組織されねばならないのだ!
全世界の同志よ!
輝かしきブロレタリアの旗の下に!
最後の勝利はおれたちのもの!
だが、その道は険しいのだ!
              ── 一九二八・三 ──

(『日本解放詩集』飯塚書店 1950年)

パリ・コミューン


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