パブロ・ネルーダ 『大いなる歌』

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『大いなる歌』

 ここでネルーダの代表作ともいうべき詩集『大いなる歌』を見ておこう。この詩集はラテン・アメリカ詩ばかりか、世界詩の傑作のひとつである。一九七一年のノーベル文学賞はネルーダに授与されたが、それも『大いなる歌』に与えられたとも言えるだろう。
 ネルーダが『大いなる歌』の構想をいだいたのは、第二次大戦のさなか、一九四三年の秋、メキシコからの帰国の途中、グァテマラやペルーのマチュ・ピチュ大遺跡などを歴訪してのことである。一九四五年には第一章の「地上のランプ」と第二章の「マチュ・ピチュの高み」ができあがり、一九四八年からは、ヴィデラの追及をのがれた地下生活のなかで書きつづけられた。それは、雪の野のあばら家で、アンデスのきこり小屋で、バルパライソの貧しい水夫の家で書かれ、また船のうえで書かれ、汽車のなかで書かれた。こうしてこの彪大な詩集は、この世のあらゆる光と影をうたいあげ、きわめて多様な生活と現実を反映することになる。そしてこの詩集が刊行されたのは一九五〇年である。
 『大いなる歌』(Canto general)においては、題名の示すように、全般的・全体的な世界がうたわれ、あらゆる主題が追求されている。そこには、新大陸の創世記・大自然の地理、動物、植物がうたわれ、南アメリカ諸国と諸国人民のいりくんだ民族の歴史、スペインの征服者たちに反抗してたたかった戦士たち、解放者たちの英雄像などがうたいこめられている。この詩集はまさに新大陸のエンサイクロペディアであり、その宇宙創成史(コスモロジィ)である。そしてこの詩集の偉大さは、アメリカ諸国人民の解放と自由を声高く、また声深く呼びかけているその壮大なスケールにある。
(つづく)

(新日本新書「パブロ・ネルーダ」)
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