「異国へ連れ去られた美女」は1915年、マリーに贈られた詩です。当時、彼女はドイツ人の画家と結婚してスペインに住んでいました。それでも、彼はこの詩を彼女のために書かずにはいられなかったのです。ここで 虹とはマリーその人です。恋する女はひとときの幸せののち、虹のように過去のなかへ消え去ってゆく……虹のイメージはマリーの美しさを浮び上がらせると同時に、「消えさる」もののイメージとして二重に美しい、みごとな効果をあげています。
(「愛のポエム──ギョーム・アポリネール」『学習の友』1979.6)
異国へ連れ去られた美女
ギョーム・アポリネール
行ってしまえ 行ってしまえ わたしの虹よ
行ってしまうがいい 愛くるしい色艶(いろつや)よ
遠く 消えさるのが きみの本性なのだ
こころの変わりやすい 女(ひと)よ
こうして虹は連れ去られた──連れ去って
だれが彼女を 虹色に輝かせるのだろう
だがここには 彼女のかわりに 旗がひとつ
へんぽんと 北風にひるがえっているのだ
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