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冬の日の日ぐれの歌 ──八十八歳の歌

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冬の日の


(『稜線』1998年12月)

枯枝







  冬の日の日ぐれの歌
    ──八十八歳の歌
                大島博光

手すりにすがって 身をはこぶ
尺取虫のように 歩をはこぶ

眼はしょぼついて足はしびれる
身はよろめいて息が切れる

こんな苦行の老いには生き飽きた
こんな老いの責苦はたくさんだ

いくら運命に毒づこうと
いくら生にふてくされようと

死に神はいっこうにやってこない
おれの墓穴はまだひらかない

この泣き虫はすぐ音(ね)をあげる
逃げる男はすぐ死へ逃げる

すぐ彼岸に眼をやる 弱虫は
すぐ闇をのぞきこむ ペッシミストは

泣いても嘆いてもなんにもならぬ
死にゆくものはもう死を語らぬ

泣いても嘆いてもなんにもならぬ
這いずりまわって生きねばならぬ

おのれの記憶の生きてるかぎり
夢みる力の残ってるかぎり

きみの愛をうたっていることだ
春の日を夢みていることだ

冬の日のうすらあかりのなかに
季節もないくら闇のなかに

1998.12
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