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壁

*この詩は「闘いの日に」(「勤労者文学」6号 1948年10月)と似ています。「闘いの日に」では、壁は労働者を閉じ込めている刑務所の壁を指しています。

二人






 壁
             大島博光

この厚い壁のなかに
わたしたちの
愛するひとびとがいる

この高い壁のなかに
わたしたちの
愛するひとびとが閉じこめられている

 わたしたちの子をかえせ
夫をかえせ
 わたしたちの恋人をかえせ

子をうばわれた母親が叫んでいる
夫をとられた妻が叫んでいる
愛人をうばわれたおとめが叫んでいる

怒り叫ぶ撃につつまれながら
しかし、厚い石の壁は
つめたく つっ立っている

泣きわめく叫びを浴びながら
しかし、高い石の壁は
ひややかに そそり立っている

多くの涙と血を吸ったこの壁
生きた人間を呑みこんだこの壁
多くの呪いと憎しみを吸ったこの壁

この厚い石の壁は
むごたらしく つっ立っている
とてつもない怪物のように

この高い石の壁は
たけだけしく そそり立っている
とてつもない権力のつら魂で

わたしたちの
愛するひとびとはとらわれている
この厚い壁のなかに

わたしたちの
愛するひとびとはとじこめられている
この高い壁のなかに

わたしたちのまえには
まだこの壁がつっ立っている
まだこの壁がそそり立っている

しかし わたしは見た
この壁よりも 厚く、厚く
むらがり寄せるひとの垣を

しかし わたしは見た
この壁よりも 高く 高く
そそり立つひとばしごを

この人垣と人梯とは
いつか 厚い壁をぶちやぶるだろう
いつか高い壁を乗りこえるだろう

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