『一〇〇の愛のソネット』(1)「パブロ・ネルーダの博物誌」

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ネルーダの博物誌


『一〇〇の愛のソネット』

(1)「パブロ・ネルーダの博物誌」

 「とりとめのない放浪」についで、一九五九年には、最後の恋人マチルデ・ウルティアにささげられた「一○○の愛のソネット」が刊行される。すでにマチルデへの愛の詩は、『船長の詩』のなかに匿名で書かれていたが、『一○○の愛のソネット』においてひとつの集大成をみることになる。これを機会にネルーダの愛と愛の詩について考えてみることにしよう。
 アマゾンの森のように多血質だった詩人は、外交官生活の異国の行く先ざきで恋をし、それぞれの恋人にかず多くの愛の詩をささげている。ブラジルの詩人ヴィニシウス・デ・モラエス はその「パブロ・ネルーダの博物誌」(「ウーロップ」誌一九七四年一・二月号)のなかにこう書いている。

  オランダは きみにマルーカを与え
  アルゼンチンは 軽やかで美しい
  「蟻さん*」を きみに与えた
  メキシコは きみにマリアを与え
  プラジルは マリーナを与えた
  ひそやかで 目だたぬ きみの愛
  だが きみに心奪われた世界は
  もっと多くの恋人を 与えたろう
  もしも 嫉妬ぶかいチリが
  マチルデをきみに 与えなかったら

  最愛の恋人マチルデを 

  *「蟻さん」は詩人の二番めの妻デリア・デル・カリル

(つづく)

(新日本新書『パブロ・ネルーダ』)

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