大島博光記念館を訪ねて(中) 秋山鐵夫

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 家の裏手にまわるとリヤカーがあり、そばにモンペ姿の婦人が立っていました。後ろ姿ですぐ奥様と分かりました。その時何かキリッとしたものを感じ、のんびりと遊びにやってきた私はすぐに声をかけるのをためらったのを覚えています。
 挨拶もそこそこに、縁側にまわって声をかけると、いきなり四、五歳くらいの男の子が飛び出してきて、中に駆け戻ると、菜っきり包丁を振りかざし、斬りかかってくるのです。初めはふざけているのかと思ったが、本気で手加減してくれません。退散するしかありませんでした。後で博光さんに話したのですが、驚いた様子もなく至極平静にしておられるのにまた驚かされました。
 この暴れん坊は朋光さんの弟さんだったと今回の訪問で知りました。
 博光さんは、あまり多くを語らず私に朴の板を一枚下さり「これで原稿用紙をつくると味があっていいんだ」と彫り方などを教えて、ご自分もせっせと彫っているのです。詩人でフランスの詩を翻訳する人と聞いていましたが、誠にのんびりしたもので、先行きに焦りを感じている私とは対照的な人でした。
 なんとなく居心地が良くゆったりとした時間が過ぎていました。
(つづく)

和服
和服姿 昭和50年頃

原稿
版木でつくった原稿用紙

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