ぼくはパルファン川の歌声をきく(原詩)

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わたしはパルファン川の歌ごえをきく
                         グエン・スオン・サイン
                         大島博光訳

わたしはもうパルファン川から離れられぬ
一万里はなれていても 遠くはない
小舟たちの影が 川面をすべってゆく
櫓の音は露にぬれた月の光りに語りかける

若者のころ わたしは桟橋でじっと待っていた
わたしの若わかしい髪に愛を吹きこむそよ風を
細い葉をつけたしだれ柳の枝を抱きしめて
わたしは 川波のさざめきをきいていた

月の光りが 地上に降りそそいでいた
竹の葉が歌うたう声の上に降りかかった
夜ふけ 川は小舟たちをやさしく抱いて
土手もうたのしらべにきき入っていた

あのころ わたしはよく方々を歩きまわった
わたしは 遠い遠い海の呼び声を夢みた
火焔木(かえんぼく)の茂みをとおして はしけの歌は
学校で習った詩のようにこころよかった

ふるさとの川面を流れる民謡の歌ごえは
祖国を愛するしらべをひびかせていた
みんなの血の中をいのちは波立って流れた
抗戦の雄叫(おたけ)びはジャングルにこだました

今わたしは祖国の大地に花咲いた春を摘んでいる
わが国の半分は早くも活気にあふれている           
この夜ふけ 首都ハノイの街(まち)を歩きながら
わたしは思い出す なつかしいパルファン川を

舟からわきあがる ふるさとの歌ごえを
明るい春をめざしてたたかう兄弟たちを
ふるさとの山や川と一体となった
若わかしい心をもったすべての人たちを

ふるさとの川面に高鳴る戦いの誓いは
きっとかがやく未来をたたかいとるだろう
深い霧は消えて光りが射しこむだろう
わが祖国の「北」と「南」は一つになる

見るがいい 熱情に燃えて前進する人たちを
祖国の半分はもう生活の春を味わい始めている
わたしはまたあのふるさとの舟歌がきけるのだ
祖国統一の戦いの中で 日一日とパルファン川の歌ごえに近づいてゆくのだ

★ パルファン川は南ベトナムの有名な川。

(「ベトナム詩集」飯塚書店 1969.8)
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