おとぎ話の豆の木のように
きょうもまた わたしは語りかける
きみにむかって 呼びかける
だが きみはもうこたえてくれない
わたしの声も きみには聞こえない
山でさえ こだまを返えすものを
水でさえ さざなみを立てるものを
あの生きた日に きみはわたしに
こたえもこだまも返えしてくれた
死んだひとには 語るすべがない
黙っているほか なんのすべもない
わたしの叫びは きみへのうたは
この世からあの世への片思い?
そんなことはない そんなことはない
わたしの声を きみは聞いている
わたしがきみに呼びかけるとき
きみはわたしのなかに生きている
そうして生きていた日のように
わたしの目くばせにうなづいてくれる
だから わたしは語りかけよう
わたしのうたはきみにとどこう
この地上から空までとどく
おとぎ話の豆の木のように
一九九五年六月
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