長篇詩 怒る浅間山(6)

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(6)

彼等は そして
なおも 眼をつける
”おお おじょうさん”
そういう彼らの声がいやらしくひびくとき
基地がふえ
彼らはそうして紳士気取りの淫欲な眼つきを
浅間にむけた
高原浅間の山に思いついた。
”おお 浅間山 おじょうさん”
山岳演習地としてほしい
彼らはそうして申込んできた

浅間よ
噴火しつづけるわたしらの胸浅間よ
おまえがいま
再び鳴動しはじめている意味を
わたしたちは知っている
おまえのかわらぬ熱い血潮のたぎるのを

よく思いついた
よくも 思いついた
よくも浅間に 思いついた

だが しかし
彼らの奸策を知りつくしているわたしたちにとって
当然
予期していたときであった

或る一部の人たち
自分に直接 被害がきて
とりかえしつかなくなって ものごとをはじめてのみこむ
ひとりよがりの考えをもつ 人たちにとって
よもや山国 長野県にだけは
屈辱と悲しみはあり得ぬだろうと考えてもいた
この長野県にもやってくるだろう
身にあまる屈辱を予期していた

彼らの奸策 それは
朝鮮戦争に形象され
はっきりあらわれてきたところの
ファシズムによる世界制覇である
ファッシズムデモクラシーである
デモクラシーの武器と武力 それは
細菌爆弾である
パンパン合体の奇形兵士である
そうして 彼らは
朝鮮の土地に
朝鮮国民の生命を腐敗させ
殺し
ばらまいた
そうして 彼等は
日本の土地に 日本のパンパンをつくり
日本の貞操を鉄板じきにして
パンパンを滑空路にして夜ごと飛び立った
飛び立つごとに配色が濃くなった
その疲労感
巨人米国のみだらな生殖器から放出される
おびただしい精子
その彼らがどうして朝鮮のレヂスタンス
きびしい山岳戦にはむかうことができたろう

そこで彼らは 考えた 弱さをみとめた
だが彼らは
この根本原因をさぐることをせず
なおその上の尊い精子の浪費を考えた
リッジウェイからバトンをうけたクラーク大将
日本本土内に山岳戦学校を設け
訓練し
強力部隊を朝鮮に送りこみ
細菌戦争による敗色をぬりかえようと考えた

ときも とき
三十八度線においては
北鮮 および中国の指導者たちが
平和を 熱望し
主張を折って捕虜交換がはじまりかけていたのである
なんという奇怪な演習地化
彼らはそうして私らの愛するからだ
祖国をまるはだかにして調べあげた
全国二十二ヶ所
なんという破廉恥な手のはだざわり
浅間よ
おまえの純けつのすべてが朝鮮の山岳に似ていた
(つづく)

(『呼子』10号 1953年7月)

浅間山


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