長篇詩 怒る浅間山(4)

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(4)
わたしたちの絶えざる噴煙。
わたしたちの浅間。
わたしたちのふるさと。
わたしたちの歴史。
わたしたちの祖国。
永遠に燃える浅間には
いかりとかなしみ よろこびとなげきを
わたしたちの祖先が そして今日まで
日々祈りこめて。

戦争にやぶれ
軽井沢の別荘地帯の人々は入れ替わった。
訪れるものは政治家や大闇商人 そして
国際観光の名に眼をつけたアメリカ軍だった。
彼等は平和を唱え 民主主義をかたり
飢えて傷ついた民衆に
少しのとうもろこしとキューバ糖を与えながら
次々と日本の焼け残った主要地や美しい観光地の
それも設備の整ったビルやホテルを接収していった。
日本ファシズムを倒してくれたのだから
日本は負けたのだから
仕方の無いことだ事だと 民衆はあきらめの眼をとじた。
やがて軽井沢には
アメリカ高級軍人とその家族達が
からまつ林のなかで楽しそうに群れ
むき出しの肉体を陽にかがやかせ
接収された万平ホテル、ニューグランドホテルの玄関には
東京から走らせてきた色とりどりの自動車が満ち
日本の土地でありながら 日本人立入禁止の立て札を貼り
それらのホテルに使用される六〇〇の日本人要員は
他に働く場所のないまま
唇を噛んで働くより仕方なかった。
町はすべてアメリカのどこかのようであり
昔から軽井沢に住む外国人達さえ
彼等の専横に ひそかに眉をひそめていた。

(つづく)

(執筆 青山伸、岡沢光忠、小熊忠二、斉藤政雄、南出好子、中村武 『呼子』10号 1953年7月)

浅間

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