映画「ヘンダーソン夫人の贈り物」

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 第2次大戦中、空襲のロンドンで唯一上演を続けた劇場(実話)の映画化。

 ヘンダーソン夫人は富豪だった夫の死去によって莫大な遺産を相続する。その使い道を探していた夫人は、街で売りに出ているウィンドミル劇場を眼にして、これを買い取ってしまう。劇場の支配人として推薦されたのがヴァンダムというプロの男。面接の場でひと目で気に入った夫人は「あなたはユダヤ人でしょ」とズケズケ言うが、ヴァンダムは「遅刻したうえ、私に無礼な口をきいた」といって帰ろうとする。「私は劇場を持っている、それを自由に使っていい。あなたで失敗すれば、あなたを選んだ私の眼が節穴だったことになる。」との言葉にヴァンダムの気が変わる。「意見は言ってもいいが、最終的な決定権は私にある」というヴァンダムの主導で劇場経営が始まる。芸人のオーディションでも彼のシビアな選び方に不満をもつ夫人だったが、しぶしぶ従うほかなかった。

 当初はヴァンダムが提案したノンストップ公演が評判となり上々の滑り出しをしたものの、他の劇場が真似をしたために客足は落ち込み、経営は苦しくなっていく。そこで夫人は、女性の裸をステージで見せることを提案する。当時としては前代未聞、不可能と思われるアイデアだったが、夫人は幼なじみだった検閲官の長官トミーをご馳走して丸め込む。「美術館では裸の女性の絵が芸術として公開されている。ステージでも女性が動かなければ同じ芸術」と、女性が動かないことを条件に許可を取り付ける。

 ヌード上演の公開初日、美しいショーが終わると、視察で観客席にいた検閲官のトミーが真っ先に拍手をした。成功に湧くオープニング・パーティーにヴァンダムは妻を同伴して現われ、ヘンダーソン夫人に紹介する。彼に妻がいることを知って夫人はたちまち不機嫌になり、嫉妬心から妻を無視する行動に出る。ヴァンダムは妻への侮辱は許せない、と怒って劇場への出入り禁止を通告する。変装して劇場に入る夫人と、これを見つけてお仕置きをするヴァンダム。

 戦争が始まり、ナチスのパリ占領が報じられると、劇場はフランスを励ますべくマルセイエーズを歌い、ロンドンへの爆撃が始まると戦意高揚の演し物を演じるのだった。
 客席は兵士たちで溢れるようになり、踊り子たちに魅せられた兵士たちが楽屋口に見送りに来る。少年のように初々しい若者に声をかけた夫人は、年令が21才と聞いて、何故かお気に入りの踊り子と引き合わせようと画策する。

 ついに劇場に閉鎖命令が下された。爆撃が続く中、人が集まりすぎて危険という理由だった。劇場の前に集まった兵士たちや検閲官、新聞記者を前に夫人は大演説をする。
 「私の息子は前の大戦でフランスで戦死しました。21才でした。遺品から女性のヌード写真が出てきました。生の女性の裸も見ないまま亡くなった息子は犬死にでした。私が劇場を始めたのは、戦場に赴く若者に贈り物をあげたい、喜びを送りたいと思ったからです」

 ショーが再開されて盛り上がる舞台、夫人がいないことに気づいたヴァンダムが屋上に上がると、夫人は遠い空を眺めていた。ヴァンダムの誘いでダンスを踊る二人のあいだに相変わらずの辛辣なやりとりが続く。「足を踏んだわね、ダンスが下手だとインドでは紳士になれないわ」「これでもダンスには自信がある。あなたは困った人だが、そこがいい」

 行動的で茶目っ気のあるヘンダーソン夫人と一流の演出家にして中年男の色気を漂わせるヴァンダムとの掛け合い、口論が面白く、「まるで長年連れ添った夫婦みたい」。主演二人の演技と存在感が抜群で、脇役陣も見事だった。歌と踊り、ヌード美も楽しめた。ストーリー展開も歯切れがよく、メセージ性もあり、共感できた。英国の映画のレベルの高さを感じさせる作品でした。

監督 スティーヴン・フリアーズ
脚本 マーティン・シャーマン
出演 ジュディ・デンチ、ボブ・ホスキンス
2005年イギリス

ヘンダーソン

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