ネルーダ「フェデリオ・ガルシア・ロルカへのオード」を鈴木瑞穂が朗読

ここでは、「ネルーダ「フェデリオ・ガルシア・ロルカへのオード」を鈴木瑞穂が朗読」 に関する記事を紹介しています。
鈴木瑞穂さんによる朗読です。


 フェデリオ・ガルシア・ロルカへのオード

 もしも 野の一軒家で 恐怖にふるえて泣くことができたら
 もしも われとわが眼を抉りとって 食べることができたら
 ぼくはそうしただろう 喪服をきたオレンジの木が
 あげたようなきみの声のために
 きみの叫びながら迸りでた詩のために

 ……
 もしも 町の邸宅という邸宅を
 煤でまっ黒にし
 泣きわめきながら
 時計塔をぶちこわすことができたら
 それは きみの家に
 みんながやってくるのを見るためだ
 きみの家に
 ぶち割られたくちびるで 夏がやってくる
 断末魔のぼろをまとった たくさんの人たちがやってくる

 悲しい栄誉にかがやく かずかずの地区がやってくる
 死んだ鋤とひなげしたちがやってくる
 墓掘り人と馬に乗った男たちがやってくる
 惑星と血のついた名刺がやってくる
 ……
 憎しみと棘をもった薔薇がやってくる
 黄いろっぽい船がやってくる
 風の日が子供をつれてやってくる
 ぼくがやってくる
 ぼくといっしょにオリヴェリオ ノラーがやってくる
 ヴィセンチ・アレキザンドル デリアがやってくる
 マルカ マルヴァ マリナ マリア・ルイサとラルコがやってくる
 ラ・ルビア ラファエル・ウガルチがやってくる
 コタポス ラファエル・アルベルティがやってくる
 カルロス べべ マノロ・アルトラギーレがやってくる
 モリナリがやってくる
 ロザレス コンチャ・メンデスがやってくる
 それからもう忘れたほかの人たちがやってくる

 さあ きみに花輪をささげよう
 元気で 喋のようだった若ものよ
 いつも自由な黒い稲妻のように
 純粋だった若ものよ
 ぼくらは語りあってきたが
 岩のあいだに だれもいない今 
 胸をわって話しあおう
 ありのままのきみを
 ありのままのぼくを
 もしも 詩が
 ひとをうるおす露となるためでないとすれば
 いったい なんの役にたつというのだろう?
 もしも むごい匕首(あいくち)がぼくらを探しまわっている
 この夜のために
 心臓をぶち抜かれた人間が死にかかっている
 この日のために このタぐれのために
 この崩れおちた片隅のために
 詩があるのでないとすれば
 いったい 詩はなんの役にたつというのだろう?

 ……
 フェデリコよ 見るがいい
 この世界を 街街を
 胸を刺すような光景を
 かずかずの別離や 石ころや レールのほか
 なんにもない処にむかって
 汽車が煙をあげていやおうなしに出てゆくときの
 あの駅での最後の別れを
 ……

 これが人生だ フェデリコよ
 ぼくが 血気さかんで憂鬱な男の友情として
 きみに差しだすことのできるのがこれだ
 きみはもうきみ自身のたくさんのことどもを知っている
 だんだんきみは ほかのひとたちのことをも知るだろう
             (角川書店『ネルーダ詩集』)

夕暮れ
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