心のなかのスペイン──スペイン戦争(上)

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 スペイン戦争

 一九三六年七月一七日、ヒットラーとムッソリーニに支援されたファシスト・フランコの反乱が、北アフリカ・スペイン領モロッコから始まり、ここに三三ヶ月にわたるスペイン市民戦争の幕がきっておとされる。早くも八月一八日には、親友のガルシア・ロルカがファシストの血祭りにあげられて、その故郷グラナダ郊外で虐殺される。ネルーダはすでに『フェデリコ・ガルシア・ロルカへのオード』を書いていた。

  元気で蝶のような若者よ
  いつも自由な黒い稲妻にも似た
  純粋な若者よ
  胸を割って話しあおう
  ありのままのきみを
  ありのままのぼくを
  もしも 詩が
  ひとをうるおす露となるためでないなら
  詩は なんの役にたつだろう?
  もしも むごい匕首(あいくち)がぼくらを探しまわっている
  この夜のために
  心臓をぶち抜かれた人間が死にかかっている
  この日のために この夕ぐれのために
  この崩れおちた片隅のために
  詩があるのでないなら
  …… 詩はなんの役にたつだろう?      (『地上の住みか』)

 この詩は一九三五年に書かれたものだが、まるでロルカの死を予感しているような書きぶりにも見える。
 純粋詩に反対し、詩を生活と現実のなかに据えようとしたネルーダの約束は、早くも現実に燃えさかる戦火のなかで果たされることになる。スペイン市民戦争は、生死を賭けたファシズムとの闘争をとおして、真実はどこにあるか、人類の未来と希望はだれの肩にかかっているかを、ネルーダにさし示した。それまで抽象的な理論であり、漢然とした感情であったところのものが、戦争によってはっきりとしたかたちをとり、詩人を飛躍的に前進させる。
(つづく)

(新日本新書『パブロ・ネルーダ』)

\ロルカ
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