心のなかのスペイン──スペイン共和国

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 スペイン共和国

 一九三一年四月、スペイン各地で行われた地方選挙の結果、共和制を支持した人民が決定的な勝利を収めた。こうしてブルボン王朝は崩壊して、共和制が宣言され、革命は流血をみることなく、平和のうちに行われ、ここにスペイン共和国が誕生したのだった。スペイン人民の、この偉大な夢の実現と希望とは、一九三四年にはまだ何ものにも脅かされていないかに見えた。自分が殉教者として、犠牲として狙われていることに、人民のスペインはまだ気がつかなかった。しかし国際的反動とファシストたちは、若い共和国の隙をうかがい、おのれの出番を待っていたのである。
 ネルーダを歓迎した若いスペインの詩人たちはみな共和国の支持者であり、共和国の誕生とともに花咲いたスペイン・ルネッサンスのにない手であった。
 ネルーダはまたスペインの古典的詩人たちを友人をとおして知ることになる。ゴンゴーラの『孤愁』を暗誦していたアルベルティはゴンゴーラをかれに教える。また友人のヴィセンテ・アレサンドレといっしょに、かれはペドロ・デ・エスピノーザを読み、ヴィラメディアナを読む。そして友人の詩人たちはみな、みずからゴンゴーラとケヴェードの弟子をもって任じていた。そこには、たんにスペイン詩の伝統的なつながりがあっただけでなく、生ける現実から出発した、絶えざる継承発展があった。過去の詩人たちが、こんにちの詩の創造生成に参与し、影響をあたえることをやめなかったのである。
 スペインの文学的遺産を発見したことによって、ネルーダはスペインの心に触れ、自分自身を再構築する。詩的技法をひきしめ、おのれの視野をひろげ、表現における厳密さの重要さを学びとる。その点で、フランシスコ・デ・ケヴェードとの出会いは決定的だった。かれはケヴェードを「あらゆる時代をとおしてもっとも機智にあふれた偉大な詩人」といって、ほめたたえている。スペインの心をもとめて旅ゆくネルーダにとって、ケヴェードは案内人の役割を演じる。
(つづく)

(新日本新書『パブロ・ネルーダ』)

マドリードにて
ネルーダを中心にスペインの詩人たち。1936年マドリードにて

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