パブロ・ネルーダ──学生連合と『クラリダド』(下)

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 当時、サシティアゴの学生連合では、毎年、謝肉祭(カーニバル)にも似た春祭りが行われていた。祭りは詩人による詩の朗読によって幕を切って落すことになっていた。その詩人を選ぶために詩のコンクールが行われた。一九二一年一〇月、ネルーダはコンクールに「祭りの歌」という詩を送って、みごとに一等に選ばれ「春祭り賞」と賞金を手にする。ネルーダは祭りの模様をこう書く。

  祭りの歌……十月
  春の授賞
  ひとりのピエロがおごそかな声で
  わたしの詩を狂気じみたしぐさで解きほぐす
  そしてジャスミンと仮面たちのなかの
  黒い剣の刃のように痩せたわたしは
  またしてもひとりぼんやりと
  南風の憂愁を抱いて群衆をよぎってゆく
  鈴が鳴り色テープのとぶ下を
  それから詩から詩へ
  行から行へと 家のなかで街なかで
  新しい詩集が芽ばえる
  女と海の二○の波のような
  塩の味がする二○の詩
  ……
  そして愛からもぎとられたばかりの
  くちづけと孤独のあいだで
  ゆっくりと眼ざめた木のように
  葉を一枚また一枚と重ねて
  荒れ狂う嵐のような小さな詩集が生まれた……
         (「一九二一年」─『イスラ・ネグラの思い出』)

 「祭りの歌……十月」というのは、南極圏に近いサンティアゴでは、九月、十月が春の季節なのである。この詩には、つづいて書かれる『二○の愛の詩』の生成が語られている。
(この項おわり)

新日本新書『パブロ・ネルーダ』

クラリラド
ネルーダが18〜20歳にかけて多数の詩やエッセイを発表した学生連合の機関紙『クラリダド』
(学生連合主催の詩のコンクールで1位になった『祭りの歌』が掲載されている)
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