栄光あれ

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 栄光あれ      ルイ・アラゴン

栄光あれ
祖国を裏切ろうとしなかったものたち
身を売ろうとはしなかったものたち
祖国の色をした若者たち
燃える心を灰のしたにかくして
いもりのかくれ家を 炎のなかに
   もとめた

わたしらの美しい友はどこにいる
この冬のなか あの若者たちはどこにいる
さびしく残った娘たちはつぶやく
やがてまた わたしたちに歌ってくれるため
あのひとたちは いま声をひそめ 身をひそめてるのだ
   あのひとたちの流儀で

母親は耳をかたむけ そっとため息をもらす
万一のことがなければよいが 気にかかる
あの子たちは何もなく 苦労してるにちがいない
売るものは足りるだろうか
うちから出かけていったときは
   妙に天気は暖かったが

しずまりかえった祖国よ 忍ぶような空よ
わたしは 子供らの身をおもう
あの子たちはどこか あばらやのなかで眠り
明けがたともなれば寒いだろう
つめたい風が容赦なく吹きこみ
   焚き火も消えるだろう

しかも家に残っているあるひとたちは
じっと地平線を見つめながら
戸棚によりかかって ぬくぬくと夢みている
たたかうひとや この恐ろしい季節を
敵の庁候や災難や裏切りを
   おそれはばからずに

裏切りは太鼓をうち鳴らし
義務をののしりちらし
そして敵のお仕着せを着て
白を黒と言い 愛を罪と呼び
汚辱を名誉と呼び 昼であるのに
   夜だと言う

だがわれらの息子たちは外敵を信じなかった
外敵の軍馬の その黒い馬具となるよりは
かれらはすすんで危険をえらんだのだ
そうして 雪が降りしきるとき
思え 思いみよ 雪のなかの
   あの若者たちを

フランスよ おんみの長子権をとりもどせ
おんみの息子たちの不屈さに
世界はおんみを見なおすのだ
フランスよ おんみは伝説のようによみがえる
おんみの若者たちの勝ちほこる
   その腕のなかに

われらはうち敗れたのか いやいや
あの「帝国」やコルシカのように
われらの国土は征服されはしなかった
われらの愛 われらの力
愛国者たちに 栄光あれ
   マキに栄光あれ

*1(訳注)コルシカ島は一七六八年ジェノアからフランスに売られた。
*2(訳注)コルシカの密林、密林にかくれるものの意。抵抗運動のパルチザンはマキと呼ばれた。

(『フランスの起床ラッパ』)


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