ネルーダ 愛の詩 百の愛のソネット(13)

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 八九番めのソネットから百番めのソネットまでは、死と死後についてのファンタジーを歌っている。死と死後についてのファンタジーにおいて、詩人は、その夢想の翼を思いのままにはばたいているように見える。まるで詩人は、愛と死との対話をはてしなく楽しんでいるかのようにさえ見える。そしてこれらのソネットは、主題の性質からしても、遺言のいろあいをいろ濃くもつことにもなる。

  おれが死んだら おまえのその二つの手を
  おれの眼の上に置いて 愛する手の光と麦で
  もう一度 おれの上に涼しさをふりまいておくれ
  おれの運命を変えてくれた優しさが分かるように

  おれは眠って待っているから 生きておくれ
  いつまでもおまえは 風の音をその耳にきき
  おれたちがいっしょに愛した海の香りを 吸い
  いっしょに歩いた砂のうえを 歩いておくれ
               (八九番めのソネット)

 ここに見られるのは、なんという透明さであろう。愛もまた、死をのぞき見るとき、いつにもまして「透きとおった愛」となるのであろうか。思えば、愛の矛盾に悩みながら、狂おしいような情熱的な愛に燃えた日はもう遠いのである。たとえば、六六番めのソネットでは、こう歌ったばかりなのだ。

  おまえを愛することから 愛さなくもなるのだ
  おまえを待っていないときにも 待っているのだ
  おれの心は 燃えたり 冷えたり 変わるのだ

  果てしなくおまえを憎み 憎みながら哀願するのだ

  おれが恋死にしたら それは愛しているからだ
  燃える血と 火で おまえを愛しているからだ
                (六六番めのソネット)
(つづく)

<『愛と革命の詩人ネルーダ』>

ソネット

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